第18話 自称『人見知りな母』
母は自分のことを『人見知り』というが、私や姉からすれば『どこが!?どころか母よりコミュニティ能力の高い人を知らない』。
今から一年程前に私と母と姉とで牡蠣小屋に行った。
そこは一週間程前にも母と姉の二人で行ったお店で姉は度々訪れていたが母は初めてだった。
三人で食事し食べ終わって会計をお願いした所、お店の奥さんが母に
「作った海苔があるからよろしければどうぞ」
と近くにある自宅に戻ってわざわざ持ってきてくれた。
その場でありがたく礼をいって頂いていたが、後ほど母に
「知り合い?」
と聞くと……
「前回行ったときにちょっと世間話をしただけよ」
と返ってきた。
「さすがコミュ力が高いね」
というと母は否定したが姉が笑って
「前から行っている私にはこんなことないからね」
と返ってきたら何も言えなかった。
また、とある夏のこと。
その日一人で買い物に出かけた母は気になった服屋さんに入って行った。
外は暑く片手には汗を拭くためにハンドタオルを持っていたそうだ。
そんな母を見て、お店の方はクーラーの風があたる場所に椅子を用意して
「どうぞお座りください」
と言ってくれた。
涼みながら話しているうちに
「飲み物はお茶とオレンジジュースと紅茶がありますけど何か飲みますか?」
とも言ってくれたという話を聞いて私は思わず
「それ初めて行ったお店じゃないよね?」
と聞いたが答えは「人見知り」という言葉が似合わない返答だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます