タンドレッス~やさしいものがたり~
はらぺこおねこ。
01 平和を知らない王子
第1話
むかし、むかし。
あるところに、王子さまとお姫さまがいました。
王子さまは、容姿も良く。
魔力も高く、武術の心得もあり、そしてなにより頭がよかったのです。
優秀で強くプライドが高かったのです。
お姫さまは、美しく。
魔力も高く、剣術の腕も高く知識も豊富で頭もよく。
文武両道。
欲しいと願ったものはなんでも手に入れる。
そんなふたりでした。
ふたりの間には残念ながら子どもは出来ませんでした。
お姫さまは、子どもを産むことに恐怖を感じていました。
また、王子さまであっても王さまではありません。
だからふたりには、不満がありました。
ある程度の権力は持っていたものの。
最高の権力である[王の座]を持ってはいません。
不満は不安となり。
ゆっくりとゆっくりとある研究をしました。
それは、遺伝子を組み合わせ優秀な子どもを作るという禁忌を犯していったのです。
でも、誰も止めることはできません。
なぜならふたりは、王子さまとお姫さま。
逆らうことなど誰が出来るでしょうか。
ふたりは、まるで買い物をするかのように沢山の子どもを作ったのです。
子どもたちは、王子さまとお姫さまに忠誠を誓いふたりの手足のように働きました。
もちろん逆らい国を出ていった子どもたちもいます。
去る者は追わず。
それが、ふたりの考えでそれでも別にいいと思ったのです。
そして、ふたりはふと思いました。
モンスターと人間を組み合わせればどうなるか……
いちど思ってしまえば、気になってしまい。
ずっとそのことだけを考えました。
王子さまは、1年だけ我慢しました。
でも、とうとうその禁忌を犯してしまったのです。
「金の卵……
優秀な子どもを作るぞ!」
全て計算通り。
全てのことを想定しました。
しかし、ひとつだけ残念なことがありました。
それは、産まれた子どもは魔力を持たず。
そして、物覚えも悪く。
剣術、武術、魔術。
ありとあらゆる術を教えましたが、ひとつも身につきませんでした。
そして、なによりモンスターのような金色の瞳に体中にある痣……
心を開こうとしない子ども。
王子さまたちは、その子どもに金になれない金の卵という意味を込めてその子どものことをこう呼びました。
――亜金と。
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