第35話 1/18
家族で明暦の大火がどのようなものだったのかを知るためのバスツアーに参加した。振袖火事という別名があるらしい。「明暦の大火というものは別名振袖火事とも呼ばれますが、その理由を分かる人はいますか?」バスガイドがそう言うので誰も知らないだろうと思っていたが、1人の映画監督のような身なりをした人が手を挙げる。「確か遠州屋の梅乃という娘が偶然通りかかった寺の小姓に一目惚れ。その日から恋煩いか食事も喉を通らず、寝込んでしまう。名も知らないので父母はその方が着ていた荒磯と菊柄の振袖を作って彼女はその着物に面影を抱いていたが、病は悪化して死んでしまう。葬送の日に棺に振袖をかけてやった。当時この様なものは寺男が引き取って良いことだったので、転売されることになった。しかし、その後その振袖が渡った人が2名亡くなり、何かあると思い本妙寺で読経しながら焼いた。すると北から狂風が吹き下ろし、強烈な炎を出した。これが明暦の大火を振袖火事とも呼ぶ理由となる伝説である。」
「流石ですね。では、火事があったら何番に電話しますか?」
「118番。」私の娘はそう答えた。でも違うのだ。119番なのだ。
「違いますね。118番は海上保安庁で、海難事故があればそちらにかけて下さいね。」
「では、119番でお願いします。」
「正解ですね。それでは次の目的地が近づいてきたようなのでお席にお付きください。」
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