第24話 ◆スキャンダル
◆スキャンダル
「おはようございます。 今日からティンカーベルのマネージャを担当する 吉田 美奈子です。 よろしくお願いしま~す」
「えっ? えぇーーっ お、大沢さんは、いったいどうしたんですか!?」
わたしは、ワケがわからなくって、もう大パニックだ。
「あぁ、大沢くんは新人の担当になったのよ。 もともと彼は新人をある程度の路線に乗せるまでを担当してたから。 ティンカーベルはもう結構売れてるし、そろそろ次の娘を担当する時期ってわけ!」
「そ、そんな・・・」
ガクッ
わたしは、急な展開に肩を落とす。
「あらあら、顔色良くないわね。 しっかり朝ごはん食べてるの?」
「・・・昨日わたしがあんな事したからだ・・・きっとそうだ。 ど、どうしよう・・・」
「何を言ってるの? さぁ、さっさと支度してちょうだい。 出かけるわよ」
「・・・」
わたしは、ショックで頭が真っ白になっていた。
「ほらっ、急いでクルマに乗って」
それでも吉田さんに背中を押され、フラフラしながら何とかクルマに乗り込んだ。
バタンッ
ブロロロー
今日は、サキの家に寄って同じクルマで、取材場所まで移動する事になっている。
どうやら吉田さんとの顔あわせも兼ねていたらしい。
「ハ~イ、ミキ! 昨日は上手くいった?」
サキの家に着くと、サキは元気いっぱいに昨日の事を聞いてくる。
「
・・ううん・・失敗・・」
「何よ~あれだけ教えてあげたのに~。 今日から別の娘のマネージャになっちゃうし、他の娘に取られちゃっても知らないぞ!」
「うぇ~ん。 サキ~~」
「あらら? ちょっと・・どうしたの?」
「サキったら、大沢さんがわたしたちの担当替わるの知ってたんだ。 意地悪!」
「やだ、その話しを大沢さんがした時、ミキもいたじゃない! 呆れたわね~。 あの時ハート目して上の空で聞いてたんでしょ」
「・・・」 うわ~ん。
「ハイハイ、もう泣かない。 泣かない。 わたしが何とか考えてあげるから」
「ほんとう?」
・・・グスッ
「でっ? 昨日はどこまで実行したの?」
「それがね・・・」
「ふん、ふん。 ?! ばっ、折角そこまで上手くいってたのに? もったいないことしたわね~」
「・・・・」
メソメソ・・・メソメソ
さてさて、そうはいうもののティンカーベルのスケジュールは超ハードで、大沢さんとの事は一向に進展せず、わたしは日に日に元気がなくなった。
「ねぇ、ミキ。 何か食べないとそれじゃあ体が持たないわよ!」
そんな姿を見かねたサキが声をかけてくれたが、目の前には貧血だろうか☆が飛び始めていた。
「うん。 でも食欲なくって・・・」
「それじゃ、せめてこの栄養ドリンクでも飲みなさい」
「うん。ありが・・・と・・・う」
フワッ
ドサッ
「キャァーー。 ミキ! 大丈夫? 吉田さーーん。 大変! ミキがぁーーー早く来てーーー」
「まぁ、いったいどうしたの?」
「ミキが急に倒れたんです。 貧血かも」
「と、とにかくお医者さんに。 サキちゃんは、ミキちゃんのお母さんに連絡して!」
「は、はいっ!」
芸能界でスターが入院すると、必ずどこかの週刊誌が善からぬ記事をでっちあげる。
今回もご多分に漏れず、やってくれました。
”ティンカーベルのミキ。 緊急入院、妊娠か! お相手は元マネージャーの 大沢 鋭二 氏?”
こちらは入院中のミキの個室。
「うんもぉ・・・ゆるせない!! こんなデタラメな記事書いて。 あの、3流週刊誌め~!」
サキが芸能誌を見ながらワナワナと怒りで震えている。
「サキったら。 書かれたのはわたしなのに。・・・いつも心配してくれてありがとう」
「あ~ ほんっとに腹が立つわね~。 だいたいアレも無いのに妊娠するわけが無いじゃない!」
「??アレって?」
「えっ? アレってアレよ」
「???」
「生理よ! せ・い・り」
「えっ。 ヤダ・・・そういえば・・・」
カァーーー
そう言えばわたしの体って、まだ完璧な女じゃなかったのか。
次回、「ミキ、復活する」へ続く
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