黒之介への対応


少し長くなるが、

今日は仲間達と黒之介くろのすけ様子ようす

話そうと思う。




つるぎさんの場合


「よし!取って来いうなぎ!」


「うなぎじゃないんだけど。」


掛け声と共につるぎさんがボールを投げ、

黒之介くろのすけがそれを取りに行った。


ぽてぽてと歩いて戻ってくると、

彼はくわえたボールをつるぎさんの手に戻す。


「はい!」


「おぉ!よくやったうなぎえらいぞうなぎ!」


よしよし!


「ほめられた!

・・でも、うなぎじゃないんだけど。」


「よし!もっかいいくぞ!

うなぎ、取って来ーい!」


「だから、うなぎじゃないんだけど。」


それでもまた、

彼は尻尾しっぽを振ってボールを取りに行った。



この後も、


うなぎかしこいな!」

「うなぎじゃないんだけど。」


り取りが続く。


つるぎさんには、

気に入ったヒトに食べ物のあだ名をつける

くせがあり、


初めて黒之介くろのすけを見た時の第一声が


「おお!

でっかくてかしこそうなうなぎだな!」


だった。


それから彼は、

黒之介くろのすけの事をうなぎと呼んでいる。


黒之介くろのすけは一応反論するが、

悪戯いたずらや悪意から来る物でない事は

わかっているので、

つるぎさんの事は好きなんだそうだ。




いかずちさんの場合


真剣な表情で書類に向かういかずちさんに、

うれしそうに黒之介くろのすけが近づき、

声を掛ける。


「おじちゃんあそぼ!」


尻尾しっぽを振りながら遊びにさそうが、

いかずちさんは書類を見たまま、

申し訳なさそうに言った。


「すまない。

今、手が離せないんだ。」


「・・。」


いそがしそうなその様子を見て、

黒之介くろのすけさみしそうな声で

「クゥン」と鳴く。


「そっかぁ。

・・おしごとならしかたないね。」


彼が尻尾しっぽを丸め、

その場から離れようとすると、

あせった表情のいかずちさんが声を掛けた。


「少し、待っていなさい。」


ぐに終わらせるから。



この後、

本当に3分で仕事を終わらせた彼は、

黒之介くろのすけの気が済むまで遊び、

でてあげていた。


何時いつもは仕事優先ゆうせんなのだが、

小さい物やか弱い者に優しい彼は、

ついつい黒之介くろのすけを甘やかしてしまうらしい。




こおりさんの場合


「おじちゃん。」


「なんだ。」


「あれなぁに?」


庭に咲く大きな黄色い花を見ながら、

黒之介くろのすけは彼にたずねた。


向日葵ひまわりだ。

外が暑くなると咲く花だな。」


「そっかぁ。

おそと、あついもんね。」


・・。


・・。


たがいいにそのまま黙ると、

こおりさんは本を読み続け、

黒之介くろのすけは日差しにあふれる庭を見続ける。


しばらくすると、

彼は飛びねて移動いどうする、

緑の不思議な生き物を見つけた。


そしてまた、

本を読むこおりさんに声を掛ける。


「ねぇねぇ、おじちゃん。」


あれはなぁに?


かえるだ。

名前はアマガエル。」


「あまがえる?

あれも、あまがえる?」


同じよう移動いどうする

別の生き物を見つけたらしく、

彼は小首をかしげながら聞いた。


「あれは、飛蝗バッタだ。

ショウリョウバッタ。」



気になった事があると、

黒之介くろのすけ何故なぜこおりさんに聞きに行く。


そしてその間もこおりさんの視線は、

ずっと本だけに注がれているのに、

聞かれている事にはちゃんと答えられるから不思議だ。


ちなみに、

他のヒトが同じ事をすると


「自分で調べろ。」


と、問答無用でられる。




せきさんの場合


「おにいちゃん!」


困った顔で近づくと、

せきさんはしゃがんで視線を合わせた。


「ん?どうした?」


「ボクのおかざりとれちゃった。」


結んでいる愛用のスカーフがとれたらしい。


持って来たそれを彼に渡すと、

黒之介くろのすけは期待に満ちた目で見る。


「なおして!」


「ああ、分かった。」


黒之介くろのすけの取れたスカーフを、

苦しくないよう余裕よゆうを持たせながら、

せきさんはキレイに結び直してあげた。


「出来たぞ。」


「にあう?」


「ああ、よく似合にあっているな。」


わーい!


そうはしゃ黒之介くろのすけだが、

先程さきほど庭で遊んでいたので、

体や耳の部分の毛並けなみがボサボサになっている。


それを見つけた彼は、

専用ブラシを持ちながら黒之介くろのすけに声を掛けた。


「だが、少し毛並けなみがみだれているな。

・・ブラッシングをするから、こっちに来なさい。」


「はーい!」



オシャレをするのが好きな黒之介くろのすけは、

せきさんのセンスが合うらしく。


着飾きかざって欲しい時や、

ブラッシングをしてほしい時は、

彼の側に行くのだ。


私もブラッシングはするが、

やり方がかなりざつなので


「なんかちがうんだけど。」


不服ふふくそうな顔で言われてしまう。


何となく、

せきさんの歳が若いのをさっしているらしく、

黒之介くろのすけは彼の事だけは、

お兄ちゃんと呼んでいる。




そらさんの場合


黒之介くろのすけの姿を見つけ、

そらさんは笑顔で近づいた。


「お!今日も元気だな!」


よしよし!


そうでると、

黒之介くろのすけ尻尾しっぽを振りながら、

笑顔で元気よく返事をする。


「おじちゃんこんにちは!」


「ちゃんと挨拶あいさつできたな!

えらいぞ!」


ほい、お菓子やるよ!


わーい!


尻尾しっぽを振りながら、

元気よくもらったお菓子を食べる黒之介くろのすけに、

そらさんが話しかけた。


「今日も良い子にしてたか?」


「うん!」


ほい、お菓子!


わーい!


追加ついかもらったお菓子を食べつつ、

今度は黒之介くろのすけそらさんに聞く。


「おじちゃんはいいこしてた?」


「少し悪い子かな。

仕事サボって怒られた!」


はははは!


まったく気にせずにそらさんは笑うが、

それを聞いた黒之介くろのすけは少し尻尾しっぽを下げ、

「クゥン」と鳴いた。


「そっかぁ。

・・でも、つぎはいいこできるとおもうよ。

おじちゃん、やさしいから。」


「お!うれしい事言ってくれるな!」


そんな良い子にはお菓子だ!


わーい!



この調子で、

そらさんは何かにつけてお菓子をあげてしまう。


放っておくと

ご飯を食べなくなるまであげてしまうので、

彼が黒之介くろのすけの側にいる時は、

必ず誰かが見張みはりに付くのだ。


あげているお菓子は、

ワンコ専用の物なので丸くはなりません。




くもさんの場合


晴れの日。


「いい天気だねぇ~。」


「うん。いいてんき。」


「一緒にお昼寝しようか~。」


「うん!」


雨の日。


「雨だねぇ~。」


「うん。ざあざあいってるね。」


「やる事無いから、お昼寝しようか~。」


「うん!」


雪の日。


「雪だねぇ~。」


「うん。さむいね。」


「寒いから、お昼寝しようか~。」


「うん!」



こうして、

昼寝の時はいつも一緒に寝ている。


最近ではくもさんの方が、

眠くなったら黒之介くろのすけの側に

行っているようだ。


だが時々、

まくらにされ、

迷惑めいわくそうな顔で我慢がまんする

黒之介くろのすけの姿を見る事も。




おもさんの場合


「・・。」


「・・。」


少し尻尾しっぽを丸める黒之介くろのすけを、

おもさんは只管ひたすら無言でで続ける。


そんな中、

何かを決心した表情の黒之介くろのすけが、

彼に声を掛けた。


「お、おじちゃん?」


「・・ん?」


声を掛けられ、

レッドのめんしに

彼は黒之介くろのすけを見つめる。


「・・なんだ?」


「なんでもない・・。」


そうか。


「・・。」


「・・。」


また無言でで始めるおもさんに対し、

何となく彼は気まずそうな顔をする。


・・再び、

何かを決心した顔をすると、

黒之介くろのすけはまた彼に声を掛けた。


「・・ねぇ、おじちゃん。」


「・・ん?」


どうした?


「・・なんでもない。」


そうか。



只管ひたすらで続けるおもさんと、

何かを言いかける黒之介くろのすけという

図が続く。


おもさんは動物が大好きなので、

黒之介くろのすけの事は気に入っているし、

可愛かわいいそうだ。


だが。


実は、

黒之介くろのすけおもさんの事が少し苦手である。


優しいヒトなのはわかってはいるが、

かぶっているめんが苦手らしい。


取ってと言いたいが、

相手が嫌がる事をしたくない彼は、

おもさんにどうしても言えないそうだ。


なので、

今日も物言いたげにする黒之介くろのすけと、

機嫌きげんで続けるおもさんという

組み合わせができる。




これが、

我が家のアイドルと仲間達の毎日です。

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