私と餅


もちが食いてぇ!!」


と、

叫んだつるぎさんがこおりさんにられたので。


突然ですが、

昼食はもちを食べる事になりました。


あきれた顔をしたそらさんといかずちさんが、

せきさん宅で急遽きゅうきょかせてもらったもちを、

我が家のリビングに持ってくる。


「何とか昼に間に合ったな。」


仲間達が皿に向かって手を伸ばすのを見て、

いかずちさんはホッと息をついた。


「・・。」


私は直ぐには手を付けず、

念の為に彼にこっそりと確認かくにんする。


そらさん、

もちに何も入れてないですよね?」


「大丈夫だ。

ちゃんと見張みはっていたからな。」


その言葉に、

ようやく私も皿のもちに手を伸ばした。



「うっめぇー!!」


飲み込む勢いで食べていた、

つるぎさんが大声で叫ぶ。


「しっかりめ!」


今度はいかずちさんにしかられているが、

全く気にせず大量のあんを乗せ、

食べ続けていた。


「やっぱり、もち粒餡つぶあんかぎるよな!」


嬉しそうに彼は言うが、

静かに食べていたこおりさんが反論する。


海苔のり醤油しょうゆの、

磯辺いそべに決まっているだろう。」


「そうかなぁ~?

俺は黄粉きなこが1番好き~。

甘いけど、さっぱりしてるし。


吸い込まない様に、

注意はいるけどねぇ~。」


にこにこしながら黄粉餅きなこもちを食べつつ、

くもさんが言った。


それを切欠きっかけに、

全員が自分のこのみの味について

語り出す。


「俺は、大根おろしに醤油しょうゆだ。

もちは食事で食べる事が多いからな。

それに、消化にもいい。」


これは、いかずちさん。


「俺は、そのままで食べます。

もちむと、餅米もちごめの甘みがして美味しいですよ。」


これは、せきさん。


「俺は、焼いて善哉ぜんざい汁粉しるこにするぜ!

クリーム乗せても美味いしな!」


これはそらさんだが、

発言の後


「それは餡蜜あんみつだろ!」


と、突っ込まれていた。


その後も


「俺は明太子!」


「俺は雑煮ぞうにかな。」


「納豆が最高!」


そう口々に、

もちの味付けについての話は進む。


おもさんは?」


黙ってもこもこ食べていた、

本日グリーンのおもさんに

私はいてみた。


「・・俺か?」


「はい。」


「・・これ。」


次に食べようとしていたもちを、

半分に割って中身を見せてくれる。


白いもちの中心から顔をのぞかせたのは、

茶色くて甘い香りの・・


「・・もしかして、チョコレートですか?」


「そうだ。」


私達の会話が聞こえたらしく、

周りの仲間達がざわついた。


「え?

おももちにチョコ入れて食ってんの?」


「合うのかそれは?」


「その発想はっそうは無かったなぁ~。」


「美味いのか?」


気になったヒト達が質問すると、

おもさんはまた、もこもこと食べながら言う。


「・・この間、

ある和菓子屋でチョコもちを買った。

美味かったから、作ってみた。」


「どんなのだったんですか?」


「回りがココアで、

中にやわらかいチョコレートが入ってた。


別の店は、白餡しろあんにチョコが混ざっていた。」


「へぇ~。」


私が食べながら聞いていると、

手元を見たつるぎさんがおどろいた声で叫んだ。


「なんだ?!その真っ黒いもち!」


その言葉に、

私の手元を見た他のヒトが全員驚く。


「何で黒いんだ?」


「これは・・黒ゴマか?」


正解です。


「黒ゴマ黄粉きなこです。

ある和菓子屋で、

これの団子だんごを食べたんですよ。

美味しかったから、

真似まねして作るようになりました。」


市販の黒すりゴマに、

砂糖さとうと塩を混ぜるだけ。


手軽だが、これがとても美味しい。


市販のあんを買って来て、

いて少しつぶしたご飯の中に

入れて丸める。


それにこれをまぶすと、

ゴマ黄粉きなこおはぎになり、

それもすごく美味しいのだ。


「あ、それ食べたい!」


「俺にも!」


私の話で興味きょうみを持った仲間達が、

各自かくじゴマ黄粉きなこもちを付けて食べ始める。


「お、美味い。」


「うん。これはいい。」


明日は、ゴマ黄粉きなこ団子だんごにしようぜ!


おはぎも作ろうぜー!


早速さっそく明日のおやつの事を、

全員で相談を始める。


もちを少し食べ過ぎた私は、

その会話に入る事はできなかった。


もちって中々消化しないよなぁ・・。)


今日の夕飯は、おかゆにしよう。


楽しそうに話を続ける仲間達を見ながら、

私はそう考えたのでした。





しかし、

昼食のもちが大量に残っていたため


夜は雑煮ぞうにもちピザになった。


昼に食べたもちで、

食欲が出ずおかゆを食べる私の目の前で


同じ物を倍食べたはずの仲間達は、

平然へいぜんと美味しそうに全てたいらげてしまう。


それを見た私は、

たまに放送される大食い番組を思い出したのであった。

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