プロローグ
プロローグ
川の向こう側で、マグネス王国の兵士たちが細長い
空気を
「痛、い」
痛い。胸が、
「こわい」
オークランド王国の
十二歳でも、魔術師としての力があるなら、一人前と認められる。
それが
「こわ、い。
機械兵器を持ったマグネス王国の兵士たちに、オークランド王国の魔術師たちが立ち向かっていく。子供魔術師一人を気にしている
今、
けれど、
七色に光る
「助けて」
すがるような自分の声にぞっとした。弱々しい、死にかけた声。
──気絶していたのは一瞬、だと思う。
閉じた
「妖精……?」
すさまじい数の妖精たちが全身を
「治してくれるの……?」
妖精たちが
小さな妖精の
魔術の使いすぎだ。身体を形作る魔力までも失い、死んだのだ。
七色に光る眼を持つ妖精たちが、自分のような未熟な魔術師の
(……そんな才能が、おれに? まさかそんな)
今この戦場に
この戦場にいる妖精たちは、それぞれが気に入った魔術師を守っていたはず。
ぞっとして辺りを見回した──そして予想通りの
妖精に守られていたから辛うじて生きていた魔術師たちが、撃たれて次々と死んでいく。
(……今、おれのことを治してくれてる、そのせいだ)
愛していた魔術師が死んだのかもしれない。
「おれの妖精を返せ、ルクレーシャス!」
仲間の魔術師が
どうして妖精たちが自分を助けてくれるのかなんてわからないし──返したら自分の命が危ないかもしれない。
「返せ! 返せええ、ッ!」
──叫びながら、その魔術師は撃たれて死んだ。
次の瞬間、また
「ど、どうして──そこまでして!」
すぐ右横にいた幼い少年の顔をした妖精も、答えずに消えた。
妖精たちがそれほどの力を使わないと死ぬ
そのことにぞっとする。けれど、自分のせいで妖精たちが死んでゆくのも怖かった。
でも、舌が
掌大の小さな妖精がくるりと後ろを振り向いた。
それを最後に、小さな妖精は力を使い過ぎて消えていった。
(やめろって、言わなくちゃ。だけど、もし言って、見捨てられたら──)
何もできない自分の代わりに、妖精が近づいてくるマグネス王国の兵士を焼き
次々と死に絶えてゆく仲間を目にしても、妖精たちは命をかけて傷を治し続け、敵を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます