医療がもたらすものは希望なのだろうか?
アルツハイマー病を、簡単な検査で判定することが可能な技術が生まれようとしている……。そんなニュースが飛び込んできた。
【アルツハイマー病 簡単な検査で判定可能な技術開発 | NHKニュース】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180201/k10011310791000.html
アルツハイマー型認知症の病理所見として、脳内のβアミロイドの蓄積は知られている。
Hardy J.et.al.The amyloid hypothesis of Alzheimer's disease: progress and problems on the road to therapeutics.Science. 2002 Jul 19;297(5580):353-6.PMID: 12130773
この検査では、患者から採取した血液サンプルをもちいて、βアミロイド蓄積状況を判定するというものだ。高額なコストをかけることもなく、また侵襲性の少ない簡易検査で、将来的に認知症になりやすいかどうかを判別することができるらしい。
「潜在的な認知症リスクを早期に発見し、その発症を予防せよ」と言えば聞こえが良いかもしれない。しかし、認知症を予防する手段も、認知症を改善する治療も現段階では存在しない。
Fink HA.et.al. Pharmacologic Interventions to Prevent Cognitive Decline, Mild Cognitive Impairment, and Clinical Alzheimer-Type Dementia: A Systematic Review. Ann Intern Med. 2018 Jan 2;168(1):39-51. Epub 2017 Dec 19. PMID: 29255847
Butler M.et.al. Over-the-Counter Supplement Interventions to Prevent Cognitive Decline, Mild Cognitive Impairment, and Clinical Alzheimer-Type Dementia: A Systematic Review. Ann Intern Med. 2018 Jan 2;168(1):52-62. PMID: 29255909
認知症をその発症以前からスクリーニングすることにどんな意味があるんだろうか。“潜在認知症患者”そんなレッテルで社会を生きていくことの困難さに目を向ける必要があるのではないか?
世間ではこの検査技術を有望視する声も多いが、こうした技術開発が人にもたらすものとはいったい何なのだろう。実際に臨床応用された時、医療が僕たちにもたらすのは本当に希望なのだろうか。
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