第135話『SSSランク』
「うおっ……なんだこのマッチョ……」
「つ、強そう……」
「おっきぃ……」
バルバトスの登場によってリクたちは怯んでいた。
ムキムキなガタイは威圧に十分効果を発揮するようである。
これは使える筋肉ですか?
どうなんでしょう。
ゴホン、と咳払いをして。
バルバトスは書類を掲げ、書かれている内容を読み上げ始めた。
「ウレアの街を救った功績、魔王軍や数々の強力な魔物を討伐した実績、また、新しい冒険者ギルド設立と運営に多大な貢献をしたことを踏まえ、我々冒険者ギルドはジロー・ヒョロイカ殿にSSSランクの称号を与える!」
ほ?
え、SSSランク……?
「マジか」
驚く俺。
「はぁ!?」
素っ頓狂な声を上げるリク。
いや、SSSってさぁ……。
Sをたくさん並べたらすごいって安直なノリはやめようよぉ。
どこの誰だよ、そういう風潮流行らせたのは。
ちなみに、SSSランクは俺が史上初なんだと。
過去にない実績と貢献をした俺のためにギルドが特別に用意した名誉ランクらしい。
俺があまりにも規格外の成果を短期間で上げ続けため、調整が遅れに遅れ、今になってようやく議決されたそうだ。
「へえ、そうなんだ、俺だけなんだ……」
別にね、張り合うつもりはないけどね……。
ちょっとだけですよ?
ちょっとだけ、ニタァっと口角を上げて横目でヤリチン大学生を見てやったワケですよ。
「ふ、ふーん……!」
ヒクヒクと顔を痙攣させる野村さんちのリク君。
「お、おい、冒険者ギルドのおっさん!」
「おっさん……? おっさん……?」
リクに呼ばれ、おっさん呼びに引っかかるバルバトス。
何歳か知らんけど、他人から言われると気になる年頃なのかな。
親近感沸くね。
わかりみってやつです。
「オレにもそのSSSランクってやつ寄越せよ! オレだって魔王幹部を倒したんだぞ!」
「ヒョロイカは……魔王軍そのものを倒したのだが……?」
ブレずに正論吐くバルバトスさんカッケェぜ!
「でもさ、オレんとこの魔王のほうが強いんだぜ? 不公平じゃね? なあ?」
「そうよ! そうよ!」
「リクはすごく強いんだから!」
やいのやいの。
半ばというか、完全にクレーマーの様相でヤリチンパーティはバルバトスに詰め寄る。
筋肉に怯んでいたのは最初だけで、もうすっかり遠慮がなくなってるな。
これは使えない筋肉。
「あっ、そうだ! じゃあ、リクがこのヒョロイカって人と勝負して勝てたらSSSランクにするってどう?」
名案だ! とばかりにボインな魔道士が言う。
「いや……それはオレの一存では――」
「おお! それ、いーじゃんねー! ナイスアイディアだわ~!」
「パフィー、あんたにしてはいい考えじゃないの!」
「だから……オレの……」
バルバトス……。
喋るの遅いから聞いて貰えてない。
バルバトス君! ウェーイな人種は喋るのが遅いと何も聞いてくれないぞ!
頑張るんだ!
「そうと決まれば早速手合わせしようぜ! どっか広い場所ない? そこでやるべ!」
おお!
一応、家の中で暴れないという常識はあるのか。
いや、当たり前のことだよな……。
こいつらに求めていたハードルが低くて俺は驚いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます