第3話放送部編 part3

翌日の放課後、部活動の練習を終えた後、前日の件は失敗であったと皆に報告し、後に真美と天草で話し合った。なぜ何も起きなかったのか、どこか儀式に間違いがあったのか、そもそも幽霊などいなかったのか。天草の美しき声が渡っていたが、幽霊などいない。その証明になったと、真美は感じていた。


 一週間という月日が経った頃、何度か心霊現象について調査を行い、試してみたがこれといって成果が出ることはなかった。やはり幽霊など存在しない。その結論が部として固まった。天草を除き皆は納得した。そして来るべき次の大会に向けての準備をしていた。

「はぁ」

「大会前にため息なんてつくものじゃないわよ。天草君」

「先輩、僕は嬉しかったんですよ。この放送室に幽霊がいるって聞いて」

「いないものは仕方ないでしょ」

最初から期待などしていなかった。ただわずかな可能を考えてしまった己の浅はかさだと思った。

「でも、せっかく放送部が学園内で人気になると思ったのに」

天草は悲しそうな表情を浮かべ、マイクに目を向ける。

「僕は放送部、大好きなんですけどねぇ」

その時だ。扉の隙間から冷たい風が吹いた。

その風は真美を吸い込むかのように吹き続いて来る。うそっ。真美はそうつぶやく間もなく扉の向こう側に吸い込まれていく。天草をふと見た。天草は体を浮かび上がらせている。

目を細めてみると半透明の存在が見える。冷たい風の正体。それは天草の首を掴み、天草の目を見つめている。それ以上は見ることができなかった。凍えるような風が真美の体を包み込み、意識を無くした。

続く

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