息づく運命
ハイドン
第1話
これは、一押し足りない私と掴めない幼なじみのお話。
内藤聡子(さとね)、18歳。春です、ピカピカの大学1年生です!!
女子校で3年間ワイワイするのも楽しかったけど、目標だった有名大学に入学出来たのです!
好きなことが勉強できて、行動範囲も広くなって、夢の一人暮らしもできちゃうのに心踊ってしまってます!
突然だけど、事件っす。
うちの大学のキャンパスのベンチ、さっきから桜並木の道にぽつんと置かれているそれに座って本を読んでいた美青年が、チャラそうな女たちに逆ナンされてるんだよね。
そよ風に舞い散る桜に美少年とビッチ。ウケる。……ウケねーよ!
「ス~、ハァ~」……ダッ!!
私はベンチに向かって走り出した。
あ、「さっきから」ってのは気にしないでほしい。決してイケメンをしばらく観察してたとかじゃないから!仮に見ていたとしても私はそんなに男好きじゃない。今までだって2人しか付き合ったことないし、ちゅーとか色々まだなんだからねっ…/////
そんなことよりも…
「Hey!お嬢ちゃんたち!うちのツレに何か用かい?」
「あ?」
「……(あっれぇ~?ドラマとかだとこれで追い払えるんじゃ?)」
「うちら~、りっくんとこれからデートなんですけどぉ~?」
「……(あ、この男、たらしか、たらしなのか。)」
真剣な眼差しで本を読みながら、時々口角をあげたり優しく微笑むこのたらし(?)がどーしても気になってしまったのだ。
やっちまったと思った刹那、座っていた少し前までイケメンだと認識していたたらし(?)が口を開いた。
「悪い、こっちが先約な」
「……(ノ、ノってきたー!?いや、マジで困るんですけど!あー!巻き込まれた!逆ナンだと勘違いした上に巻き込まれた!)」
「え~、誰だよその冴えない女www」
いやー、モデル体型のギャルビッチ様には言い返せませんわー。
なんせ内藤聡子は身長は日本人女性のド平均、痩せすぎず太りすぎず、運動神経も普通なのだ。
髪の毛がサラサラなのと真面目に勉強してきたからそこそこの学力はあるのが救いだ。
続けてイケメン(笑)が吐いた単語に私は絶句した
「こいつ?僕の彼女」
こんなことがあるのか。
私は理学部だが、今から受験し直して医学部に入ってこいつの頭のために脳の勉強をしてやりたいくらいだ。
こいつはやばい。多分たらしなうえに頭がイってる。こんな風に餌食になった美少女がたくさんいるのだろうな。数秒かかって冷静になり、やっとそのフレーズを飲み込んだ私は真顔しかできなかった。
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