百年後の嘘吐き(17/8/5)

お題:休



失礼ヲ許セ。壊レカケデワズカシカ送レズ受信ハ不可。別ノ手段ヲ見ツケ通信スル。通信機ヲ変エナイ事。希望失ウナカレ。

[ノイズ...]

先日ノ話嬉シク思ウ。会ッタ事モ無イノニ可笑シイカモシレナイガ、私モ君ヲ愛ス。イツカ会オウ。




「もう良いのか?」

「……もう、送信ボタンを押す力しか、残ってないんだ。喋るのも、辛いくらいだからな」


 壊れるのは通信機ではなく私で、いつか君に届く通信は私のものではない。知ったら君は僕を嘘吐きと思うだろうか?

 ガチ。

 私は旧式の重いキーを全力で押しこんだ。


「じゃあ、もう休む……よ」


 君の住む星に私たちの船が着くのは、百年後。土の下で会えるから、最後の一文は嘘ではないってことにしてくれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る