暈かけ笠茸(17/06/03)

*お題:かさ



 重ね重ねて申し上げます、カササギが夏に橋掛けるころ、いくらあの織姫様と彦星様がそれぞれきぬがさ大きく頭に掲げて、かさにかかってお攻めになるとしたとてわたくしには関係ございませぬ。


  天の原ふりさけ見れば春日なる

       三笠の山に出でし月かも


 そんなことを詠んだ御仁が、いつであったか存じませんが、たしかに今も西の大陸よりむせび泣きが聞こえておりませんか?

 死してなお瘡蓋かさぶた剥ぐようなあの御仁に情け哀れを掛けんとして、三笠の月にかさかけるのが妖怪・唐傘お化けが一匹、わたくし「暈かけの笠茸かさたけ」の生業なりわいです。他のことには関わりとうありません。


 天の原の戦いではどちらにつく気もございませぬ、どうか他所をお当たりくださいませ。

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