異世界に行こう‼~やっぱり脇役なんだよなオレ~

安西先生

第1話日常がなくなる日

「あっちぃ」グデー


「今夏真っ盛りだしね」


「うるせぇイケメン死ね」


「ひどい‼」ガーン


「うるせぇ騒ぐな暑苦しい」


「暑苦しい?!」


私こと、安西広朗(あんざいひろあき)はいわゆる脇役である。いきなりこんな紹介の仕方で申し訳ない。まぁなんも特徴がないから仕方ないと言えばそれまでだが。

それもこれも隣で絶望してるイケメン野郎のせいだ。間違いない。これはきっとゴルゴムの仕業に違いない。

ちなみに隣で騒いでいるのは、昔馴染の神田恭典(かんだきょうすけ)。運動神経抜群、容姿端麗、成績優秀、品行方正、そして正義感が強い。コイツのお陰で俺がどれだけ苦労してるか…


「ヒロー帰ろうよー」


「うるせぇ、いつもの取り巻きはどこに行ったんだよ」


「亜里沙は生徒会で、朱里が…」


「きょーちゃん、一緒に帰ろ♪」ダキッ


「朱里?!委員会があったんじゃ?」


「今日は先生がいないから中止なんだって」


「アイツまたさぼってんのか…」


「ヒロくんだめだぞ、先生をアイツって言ったら」


「へいへい」


恭典に抱きついているのは、昔馴染の一人で仲西朱里(なかしにあかり)。もちろん恭典にホの字だ。小動物系のかわいさと小柄に見合わぬお胸様。大分頭のネジははずれてるが。


「それよりも帰ろうよー」


「ヒロー帰ろうよー」


「うるせぇ二人で帰ればいいだろ。」


「恭典ー‼」ドタバダ


「ちょっ、亜里沙?!」


「恭典ー‼」ガバッ


「うわわわ」バターン


「やれやれだぜ」


「助けてー」


「知るか」


「ひどい‼」


バタバタと騒がしく恭典に飛び付いたのは、ウチの学校の生徒会副会長の橋本亜里沙(はしもとありさ)一応先輩。もちろんコイツも恭典にホの字だ。やってらんねぇ。


「亜里沙センパイ?生徒会役員ともあろうお方が廊下を走るのはいかがな物かと。」


「恭典が見えたからついな」


「いいのかよ…」

頭を抱える。やってらんねぇ。


「とりあえず生徒会の方は終わったの?」


「あぁ、これから帰りなんだ。一緒に帰るぞ」


ちなみに恭典もひとつ上の先輩だったりする。昔馴染だから許容してるんだろうが。


「亜里沙センパイ?私もいるんですが?」


「居たのか朱里。あまりにもちっさくて気がつかなかったぞ。」


「むぅ~」


「おら、帰るんだろ馬鹿ども。」


「おい、ヒロ。仮にも先輩に対してその態度はないんじゃないか?」


「だったらそれらしく振る舞えよ」


「恭典、コイツシメさせろ」


「ちょ?!」


「やんのかコラ?」


「ヒロまで?!」


一触即発。そんな状態だった。

朱里はわけが分からずオロオロしている。


「二人とも喧嘩はだめだ‼」


「ちっ」


「すんませんね亜里沙センパイ。大人げなかったッス。」


「あ、いや、こちらもすまなかった。」


「と、とりあえず帰ろう?」


「そうだな」


~帰路~


「朱里‼恭典から離れろ‼暑がってるだろ‼」


「亜里沙先輩こそ離れて下さい‼」


「二人とも離してー」


「リア充死ね」


「ひどい‼」


帰り道をいつも通りワイワイしながら帰っていると、恭典の足元に魔法陣みたいなものが展開されているではないかwww

これはアレか?勇者召喚フラグですねわかりますwww


「な、な、なにこれ?!」


「恭典‼」「きょーちゃん?!」


「うわぁー‼」


「あ、亜里沙先輩と朱里までいっしょに行っちまった。まぁ、どうにもならんし帰るか。」


再び帰路につく俺。

ふと空に目をやると鉄の塊が俺目掛けて落ちてくる。


「まじかよ‼避けき」グチャッ‼


その日、俺は死んだ。

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