最終防御壁

ツヨシ

第1話

「どうぞこちらです」


受付を済ますと、奥に通された。


その小さな扉を開けると、かなり広い部屋があった。


淡い白の壁。


木の香りが漂ってきそうなフローリングの床。


いくつもある棚には色とりどりの花が活けてある。


部屋の中央には落ち着いた色の大きなソファーがあり、そこに二人の女性が座っていた。


一人は中年で、もう一人は若い女だった。


二人の表情からは、穏やかさと癒ししか感じ取れなかった。


それも完璧なまでに。


選りすぐりの二人なのだろう。


当然といえば当然なのだが。


「こちらにお座りください」


中年の女性が言った。


耳に心地よく響く声だった。


私は二人の前に座った。


「お話、お聞かせ願えますか」


もちろんだ。


ここをクリアしなければ、先には進めない。


私は話し始めた。

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