第7話 お風呂は新発見がいっぱい
苦労したトイレの後、無事に自宅へと帰ってきた。
もちろん佳織が持っていた荷物も全部俺の荷物だ。今はそれらの荷物がすべて俺の部屋に置かれているのだが。
「多いだろ。収納場所ねぇよ」
男物の服を全部タンスやらから取っ払えば入るが、いつ元に戻るかわからない状態でそんなことはしたくない。
まあいい。他の部屋使うか……。あ、そうだ。いっそのこと余ってる部屋をこの姿の俺の部屋にしちまえばいいんでないか?
うむ。それなら元の姿に戻っても、元の自分の部屋もあるから楽だよな。
そうと決まれば明日から部屋改造だ。今日は疲れた。
「……とりあえず服についてるタグ外すか」
一通り買って来た戦利品を袋から出すと、タグをすべて外していく。
……すげーめんどくさいんだけど。
全部タグを外し終わったらお腹が空いてきた。
生活費削減のために自炊しているが、さすがに今日はそんな気は起きない。
自室を出て、お腹をさすりながら階段を降りてキッチンへと向かう。確か冷凍ご飯があったはず。レトルトカレーにでもするか。
いつも通りご飯を解凍し、レトルトカレーをかけてもう一度電子レンジにかける。
あとは冷蔵庫からお茶を出してくれば完璧だ。
「いただきます!」
うむ。レトルトと言えどカレーはうまいね。ホント今日は疲れた。風呂入って明日の用意できたらさっさと寝よう。
……あれ。まだ半分くらいしか食べてないんだけど、お腹が膨れてきた。
「ぐぬぬぬ」
思わずうなり声が出てしまった。これも体型のせいなのかっ!
「くっ、ごちそうさま……でした」
カレーに負けた……。なんてこったい。
俺はカレーにラップをかけて冷めるまでテーブルに置いておくことにする。
そして自室にまた戻ると明日の用意だ。確か始業式か。まぁすぐ終わるかな。筆記用具くらいあればいいだろ。
次は……、風呂だ!
そう、風呂なのだ。女体化して初めてのお風呂だ。……まあいつも通り行こう。何も変わらんだろう。
脱衣所で全裸になった自分の姿を改めて確認してみる。
真っ白い肌に細い脚、ふっくらとした張りのあるお尻とおっぱいだ。胸は最高だったがお尻は……、うむ、こちらも弾力があってよろしい。
大事なところには申し訳程度に毛が生えているが、この体そのものが体毛が少ないように思う。
ふと目の前に体重計があったので乗ってみる。
「――はぁっ!?」
なん……だと……? 三十七キロしかない……だと? 男だったときの半分以下だとっ!? そんな馬鹿な!
くっ……、まぁいい。身長が三十センチ以上は縮んだんだ。体重もそれくらい減るだろうよ……。
しかし……、男の時に付けていた筋肉は見る影もない。割と鍛えていたほうなんだけどな。シックスパックだったお腹はいまではぷにぷにだ。
悔しい思いとともに物理的に軽くなった足を風呂場へと踏み入れる。
「ふええぇぇぇ~。極楽じゃ~」
軽くかけ湯をして湯船に浸かる。
浸かっていると思わず可愛らしい声が風呂場に響いた。
いろいろと確認したいことはあるが、今日はもうやめだ。全部明日以降に回すべ。今は風呂を堪能するのじゃ。
湯船から上がるとお風呂用の椅子へと腰かける。……よかった。シャワーには手が届くようだ。
さて、まずはシャンプー。わしゃわしゃと頭を洗う。
うぬぅ、背が低くなって体重も減ったけど、髪は伸びたんだよなぁ。こう髪が多いと洗うのも面倒だな。
我が家にはリンスやトリートメントといったものは置いていない。なので泡を流せば次は石鹸で体を洗う工程に入る。
石鹸を泡立てて手で全身をくまなく洗う。おしっこで濡れた太ももやお尻は念入りに。大事なところも念入りに。……って。
「……痛い」
念入りに洗ったら痛かった。なんじゃこりゃ……。ヒリヒリするぞ……。
すぐに石鹸をシャワーで洗い流す。……まだヒリヒリしてる。
くそぅ、石鹸はやめとこう。
極楽気分だったのに萎えたじゃねーか。
「はぁ……」
知らないことがいっぱいあることを改めて実感した。これはまだまだありそうだ……。
お風呂から上がるとバスタオルで体を拭いてパンツを穿く。……ブラはしなくていいよな? 思わず着替えとして風呂場まで持ってきてしまったが。
……いやまて、ここは練習しておかないとダメなんじゃないか?
明日の朝わたわたしそうではある。
結局今日下着を買ったときも、自分一人でつけていないのだ。これは挑戦しないとな。
好奇心に負けた俺はさっそく前かがみになってブラを装着する。
カップの中に手を入れて寄せて上げる。脇や背中のお肉を集める感じだ。
……おお、こうなるのか。こりゃ全然違うな。こうして谷間は作られるのか。
鏡の前にもう一度立ってみる。そこに映るのは、小柄な下着姿の美少女だ。髪がしっとりと濡れていて、湯船で暖められた肌はほんのりとピンク色に染まっている。
口角を上げて笑ってみる。……うわ、この表情やべーな。
腕を組んでみると、両腕の上におっぱいが乗る。……乗るというほど重さを感じないが、乗っているようには見える。
こうすると強調されるんだな。
前かがみになって、おっぱいを両腕で挟み込むようにまっすぐ下に伸ばして手を組む。
ほほぅ、……これはこれは。
……。
…………。
「……へくちっ!」
鏡の前で遊んでたらかわいいくしゃみが出た。
いかん、湯冷めする。遊んでる場合じゃないな。さっさと寝よう。
俺はウニクロで買ったパジャマを着ると、そのまま自室へと戻りさっさと寝るのだった。
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