第6章 嵐の前の静けさ
あだ名はどうするか
あの後、泣きつかれた主人格の逢原さんは寝てしまった。
それこそ幼子のように。 彼女は両親の失った悲しみから抜け出せずにいた。暗く深い、闇に心を囚われていたのだ。
僕はその闇から彼女を救っただけ。
子供の時、クロちゃんが僕にしてくれたみたいに。
いや、僕だけじゃない。クロちゃんも桜子も。
あの後、クールビューティの逢原さんに交代しながら、いろいろ話し合った。これからの逢原さんの生活について。
話し合いの結果、主にクール逢原さんが学園で過ごし、時々主人格逢原さんに交代して徐々に学園生活に慣れさせることになった。僕と桜子、あとクロちゃんはそれをサポートする役目を担った。
「あ、そうだ。大事なこと忘れていた!」
その帰り道に、一緒に帰っていた桜子が叫ぶ。大事なこと?
「(どうせしょうもないことだろ)」
「もう一人の詩織っちのニックネーム決めてない!」
本当にしょうも……なくはないか。僕も『逢原さん』『もう一人の逢原さん』のままじゃ、逢原さん達に失礼だろうし。
「そこは、桜子のネーミングセンスに任せるよ」
「任された! あっちゃん、あいっぴ、しおりん、しっちー、ミスブックマーク」
桜子はいろいろなあだ名を並べる。いや、最後のはおかしいだろ。なんだよ、ミスブックマークって。
桜子が悩んでるうちに、分かれ道に着いた。
「それじゃあ、私の家こっちだから! バイバーイ!」
桜子はそそくさと走り去っていた。
「(俺達もさっさと帰って晩飯にしようぜ。腹減っちまった)」
「そうだね」
僕も自宅へと向かった。今日はクロちゃんのおかげで逢原さん達を助けられたんだし、豪勢な肉料理にしよう。そんなことを思いながら、帰宅した。
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