ウィル編 第1章 ~陽だまりの街と白詰草~

—01— プロローグ

辺りは止まない激しい雨音に包まれていた。しかし、それほどまで激しい雨音も少年の耳には届かなかった。そんな少年の頭の中に、少年が先生と慕っていた女性の言葉が断片的に繰り返される。


――彼女を救ってあげて――


「こんな俺に誰が救えるんだ・・・」


慕っていた人を護れなかったこと、本当の驚異から護るためとはいえ自分を慕ってくれた人を傷つけてしまったことを少年は嘆いた。


――星の力を集めるのです――


「星の力って一体なんなんだよ・・・」


星の力とは何なのか、そもそも何のために星の力を集めるのかわからないことが多すぎて少年は頭を抱えた。


――全ては星が落ちる前に――


「俺、やってみるよ」


心が今にも張り裂けてしまいそうで何をしたらいいのかもわからない、辛い現実から逃げてしまいたいという思考がまとわりついて離れることはなかった。しかし、慕っていた人との約束を守るために少年は歩き始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る