第420話 強がりの結果

――――――――――――――中級層:砂漠フィールド


 それからムクロは辺りにいるモブに気付かれないように移動し、クーリアたちと合流するとオアシスの拠点まで戻り。

クーリアたちは手分けしてミストの治療を開始した。


「それじゃムクロはテントの外で待ってて。

ここからは男子禁制だから・・・・覗いたら分かってる?」

「あはは・・・わかった・・・治療の邪魔が入らないように外で見張ってるから。

ミストを・・・頼んだ。」

「はいはい、わかってるってば。

それじゃさっそく治療開始しよっか。」

「うむ!!!アタイは包帯係なのじゃ~」

と、男子禁制と言う事からムクロはテントの外で待つように言われ。

テントの中のミストを3人に任せたムクロはユリハにモブ狩りの方はどうなのかとチャットを送った。


「お、早いな・・・・ボスモブを何体か倒して休憩中か。

こっちと大体同じって所か。

でも、ユリハにミストの事を話すべきか・・・・ん~」

?」

自問自答していたつもりが口に出ていたらしく。

テントから出て来たヴァニスに話を聞かれており、先程の言葉にヴァニスは素直に語るべきと答えると。

他に何か言うわけでもなく無言で紅茶を作り始めた。


「そうだな・・・ヴァニスの言う通りかもな。

よし、そうと決まれば長くなるが説明を書かないとだな・・・・」

「本当にムクロって変わってるわね。

素直なんだか素直じゃないんだか・・・・でも、正直なところはポイント高いわね。

よし・・・紅茶が入ったわよ。」

ヴァニスはそう言ってムクロに紅茶を渡してからテントの中に消えて行き。

クーリアやユキシロにも紅茶を手渡して待っていると。

ムクロの方にメールが入り、ユリハ達からのミストは大丈夫なのかと言う心配している内容で。

ムクロはありのままの事を書いて再び返信し・・・紅茶に口を付けると。

テントの方からムクロを呼ぶ声が聞こえ――――――――


「ムクロッち!!ムクロッち!!!きてきて!!!

ミストが目覚めたよ!!!まだ少し頭がクラクラするらしいけどなんとか無事みたい!!」

「ミスト、その・・・助けてくれてありがとう。

バーサク状態の俺を助けてくれて・・・・」

「なに、お安い御用だ。

ムクロは誰かがカバーしてやらないといけないからな。

それがたまたま私が近くてやっただけだ。

だがあの攻撃を喰らった時はもうだめかと思ったが・・・・何とか事なきを得てよかった。」

「本当よね!!もしもミストがやられちゃったらムクロが本当に怒り狂っちゃうところよ?

だけど結果的に助かったからいいものの・・・無茶のし過ぎも考えモノね。

でも高貴な私ならもっとうまく行動していたのだけれど!」

「ぬぅ~ヴァニスの話は置いておいて。

主殿、ミストが回復したら最後の追い込みに出るのかのぉ?

ユリハとの戦いはまだついておらぬのじゃろ?」

ユキシロの問いにムクロはミストが回復次第でモブを狩りに行くか考えていると語ると。

ミストはもう大丈夫と言って立ち上がろうとした時――――――


「ミスト危ないッ!!!んぶッ!?」

「わ、悪いムクロ・・・大丈夫か!?」

「大丈夫なんじゃないの?ムクロッちはミストの谷間に柔らかホールドされてるみたいだし?

コレ・・・ユリハが見たら何て言うのかなぁ~言っちゃおうかなぁ~~」

クーリアが見つめる先には倒れるミストを助けようとしたムクロがミストの胸に包まれる形で押し倒されており。

ムクロは生きができないともがいていると・・・・


「ぬぅ、主殿・・・大丈夫かのぉ?」

「た、助かった・・・・あはは・・・ミストはまだ病み上がりなんだ。

無茶をせずに体を休ませないとな。

と、言ってもそうさせた俺が言っても説得力はないだろうけど・・・・」

「そ、そんなことはない!!ムクロの言葉がどんな高価な薬やスペルよりも身に効くぞ!!

よし、ムクロがそこまで言うのであればすぐに戦いに出られるように休息をとらせてもらう。

だから数分だけ1人にさせてくれないか?」

ミストの言葉を聞いたムクロたちはテントから出て行き。

1人ミストを置いて焚火の前で待っていると・・・・・・


「ん~~よし、何とか体は元に戻った。

みんなありがとう!!!それにムクロもな。」

「いや、俺の方こそ庇ってくれてありがとな。」

「ミストはまだ完全に調子が戻ったわけじゃないから無茶をしないでよ?

ぶっ倒れたらそれこそマズいからさ。

それに戦闘も前に出すぎちゃダメだよ?」

「クーリアがミストに注意するとは・・・・明日は嵐でも来るのぅ。」

「だけどその注意は今は必要よね。

何せミストはムクロの為ならってあれだけの無茶をしたから・・・そうさせないように私たちはもっとしっかりしないとね。

べ、別に勘違いしないでよ!?誰かが誰かの為にボロボロにならなくてもいいんじゃないかっていう意味なんだからかね!!!

ほ、ほら!!モブを探しに行くわよ!!!」

素直に語らないヴァニスに深く尋ねることなくムクロたちはヴァニスを追いかけるようにして拠点から移動し・・・・動きの遅いモブの群れを見つけて攻撃を開始した。


「そりゃ!!!エイエイエイエイッ!!!エイヤッ!!!」

「ナイス攻撃なのじゃ!!!今日のヴァニスはいつもと違って力強いのじゃ!!!

アタイももっと頑張らないといけないのじゃ!!!

ふんッ!!!牙狼拳:瞬激!!!!」

「ミストはできるだけ無茶をしないでカバーを心がけてくれ。

何かあれば俺が援護に出るから絶対に・・・・」

「あぁ、そこまで心配しなくてもいい。

私は十分休んだからそこまで足や手を煩わせることもないだろう。

だからいつものようにやろう。

ホラ、こうも言っているうちにヴァニスがゴーレムに攻撃されそうだ。」

「もう!!!2人は何やってんの!?

ゴーレムには物理が効きにくいから急所を狙ってって何度言えば・・・・

あぁ~もう!!!面倒だから私がスペルで攻撃するからムクロッちたちはゴーレムにトドメを任せたから!!!

―――――――――――いっけぇ!!フリーズバースト!!!」

クーリアの放ったスペルによってヴァニス達の周りにいたゴーレムたちは動きを止めて凍り付いており。

そのスキを突いてムクロはゴーレムの群れを倒すが、クーリアの後方へ今まさに不ゴーレムの意の攻撃が当たろうとしていた――――――



「のわッ!?ヤバイ・・・スペル使ってクールタイムでスペル撃てないしこの間合いじゃ避けるのも難し・・・・・」

「ハァァァッ!!!!セイヤッ!!!!!」

「ぬおぉぉ!?ミストの一撃でゴーレムの腕が消し飛んだのじゃ!!!

クーリア逃げるのなら今がチャンスなのじゃ!!!」

クーリアに重いゴーレムの一撃が叩き込まれる瞬間・・・・ミストはクーリアの後方へ出ており。

その際にくり出した一撃はゴーレムの攻撃をしていた腕を切り落とし、そのままミストはゴーレムを倒すのかと思われたが・・・・



「ぐッ・・・・ハハ・・・少し力を入れるとこうか・・・・

まだ、はくないのか・・・・」

「み、ミスト!?やっぱりまだ完全には動けないじゃん!?

あぁ・・・もう!!!どうしたら・・・・・」

「ゴーレムの次が来るよ!!!

こうなったら私がッ―――――――――」

「いや、俺が攻撃させない!!!

――――――――――――ブレイブダンスッ!!!!」

地面に膝をついたミストにゴーレムが攻撃を仕掛けようとした時、ムクロは加速スキルによってゴーレムとの距離を詰めてきており。

気が付いていないゴーレムを勢いに乗せてスキルでバラバラにすると。

ミストにケガはないかと問い、ミストはにっこりと笑みを浮かべてケガはないと返答していた――――――――――――

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