第369話 姉さんへのご褒美?

―――――――――――――中級層奥地:野営地点


負傷したムクロを背負って運び込み。

みんなに見守られながら看病された甲斐もあってムクロは意識を取り戻し。

ユリハ達に感謝の言葉を捧げると。

クーリアやエリからは罵声が飛び、ミストに限っては急な出来事に頭が追い付かずに頭の中が真っ白になっている風で魂が抜けている様でもあった。


その中で一番心配していたのが・・・抱き着いて話そうとしないユリハであった。


「もう!!!どうしてムクロ君はいつも無茶で危険な事ばっかりするのよ!!!

そんなに私たちを心配させて楽しいの!!!

今回も動かないから本当に心配で心配で・・・・・」

「ムクロッちのバーカバーカ!!こんな危険な戦い戦いじゃないよ!!!

本当にただの無茶ゲーだよ!!!

もっといつものように冷静に的確に考えて行動しようよ・・・・

今回の戦いは今までで一番ひどいよ?」

「クーリアに同感よ。

今回はたまたま勝てたからいいモノの・・・本来ならムクロはやられて消えていた事をもっと自覚した方がいいわね。

それにたとえボスモブに勝っていたとしても。

他のモブにやられていた可能性は多々あるのよ?

それらもわかったのなら・・・ミストにもしっかりと謝っておきなさい。

ムクロが目覚めなくて新亜Pしていた1人で。

ミストも少しぼんやりしちゃってるわ。」

ユリハやエリたちの言葉からムクロが行った無茶苦茶な戦い方に対して。

心の底から謝り・・・ユリハの頭を撫でてからミストの元にフラフラとしながら向かい。

ミストに感謝の言葉を送ってから今回の事について謝ると。

ムクロに抱き着いて泣き叫んでいた。


「ムクロのバカァ・・・・私が1人になったらどうする気なのだァ~~~

――――――――――うわぁぁぁん。」

「あ~あ・・・ムクロッちがミストを泣~かした。」

「本当にこれだけ心配させたのだから責任を取って上げなさいよ。

もちろん私たちにもね?」

「そうよ・・・私も久々にムクロが危ないって感じて。

我ながら必死に頑張っちゃったわよ。」

「みんな、悪かったな。

ただ・・・少しでもみんなの負担を減らせたらって思ってさ・・・

悪気はなかったんだ・・・あはは。」

ムクロはミストに謝りながらユリハ達にも同じように謝ると。

ムクロの無茶のおかげでボスモブが倒せたこともあり、それ以上の事を言う事はなかったが。

ユリハ達は泣き叫んでいるミストの事を任せたと言ってログアウトしていき。

ムクロは頼る者がファムよユキシロの2人しかいない状況になっていた。


「すまない、2人とも・・・少し手を貸してくれないか?

ミストが変にくっ付いてて動けないんだ。」

「う、うん・・・それじゃユキシロ。

―――――――――よいしょ!!」

「ミスト・・・大丈夫かのぉ??

辛いのじゃったらログアウトして寝るのが良いと思うのじゃが・・・」

「うむ、コレについて少しだけ話があるからムクロもログアウトして部屋で待っていてくれ。」

「あはは・・・2人ともそう言う事だから俺も落ちる・・・また明日な。」

ムクロは苦笑いをしながらログアウトをすると。

ファムとユキシロはムクロも苦労するなとしみじみ思いつつ拠点の防衛に専念し始めると。

現実に戻ってきた悠一の部屋に姉さんがサッと入ってきたと思えば。

何故か布団を一式持ってきており。

同じ部屋で久々に寝ることが罰だと語ると、悠一はさっきの件について再び誤り。

姉さんの要望を通りに同じ部屋で夜を過ごすこととなった―――――――


「で、悠ちゃんは・・・この部屋で耀子にコトハと寝たのか?」

「え?あぁ・・・寝たと言えば寝たけど今のような状態で2人分の布団を置いて寝ていただけだな。

それに2人には毎日朝も昼も夜も世話になってたからそれくらいイイかなって思ってさ。

ん?姉さん??どうしたんだ?」

悠一の回答に納得がいかなかったのか・・・姉さんはどす黒いオーラを出しながら悠一のベッドによじ登り。

毎日悠一の為に朝から晩まで頑張っている自分には何かご褒美はないのかと急に言い出し、悠一はあたふたとしながら何をしたらいいのかと戸惑っていると・・・・

姉さんは自分からご褒美の内容について語り出した。


「そうだな・・・悠ちゃんに何をしてもらおうか・・・ん~

学校の帰りに2人で映画とかどう・・・だ?」

「別に構わないが・・・何の映画を見るんだ?」

悠一の了承を得た姉さんはブロッサムで映画のタイムスケジュールを確認すると。

ホラーかアクション映画の新作がお勧めとされており。

姉さんがどちらがいいか尋ねてくると・・・・


「そうだな・・・たまには怖い映画もいいかもしれないな。

その・・・姉さんは怖い映画は大丈夫なのか??」

「ん~多少の怖さなら平気だが最近のものは段々と違う怖さがあるから少し不安だが・・・悠ちゃんの選んだ映画だから頑張ってみるよ。

それじゃ、明日の映画を楽しみにして寝ようか。」

そう言って姉さんは悠一の隣で目を閉じると、悠一も同じように眠りにつき。

次の日の放課後、姉さんと悠一は約束通り映画館へやって来ると。

チケットとスナック菓子を購入し、映画が始まるまで座って待つこととなった。


「本当にチケット代はいいのか?

自分のチケット代くらいは・・・・」

「大丈夫だ、私はこういう時の為にアルバイトをしてお金を貯めているんだから。

それに・・・悠ちゃんの貴重な時間をもらってるのだからコレくらい当然よ。」

そう言って姉さんはポップコーンを食べながら待っていると、映画の広告が始まり。

ついに・・・ホラー映画が始まった――――――――


「最近の映画は作り込みがすごいな・・・・」

「悠ちゃん!?ちょっとだけ手を掴ませて!!!」

と、悠一は平気そうに映画を見る中・・・姉さんは想像を超えた内容に恐怖し。

悠一の手をぎゅっと握りしめて映画を見終わると。

姉さんは悠一の腕に寄り添いながら映画館から出て来ていた。


「姉さん大丈夫?少し顔が青いような気が・・・」

「ちょっと・・・予想していたホラーの想像を超えてたから・・・

少しだけどこかで休憩してくれたら助かるわ。」

ちょっと疲れた顔をしている姉さんを連れて近くの喫茶店に入り。

コーヒーを注文して休憩することとなった。


「ふぅ・・・少し落ち着いた・・・ありがとね、悠ちゃん。」

「いや、元はと言えば俺がホラーを選んだからな。

その責任は俺にある・・・ごめん姉さん。

無理にホラーを見せて。

アクションの方がよかったかな・・・・アハハ。」

悠一が謝ると姉さんはそんなことないと言って言い返し。

姉さんは休憩は終わりと言って支払いをしようとした時、今回は悠一が奢ると言って会計を済ませると。

姉さんの行きたいと前々から言っていたぬいぐるみ屋に向かった。


「本当にこんな夢のようなお店があったなんて・・・・

悠ちゃん、これ何て可愛くないか?」

「猫のぬいぐるみ?

モフモフしていて気持ちいいな。

へぇ・・・俺も初めて来たけど結構色々とあるんだな。」

店内を見渡してみると、数々のぬいぐるみが並べてあり。

動物や植物など様々なモノがぬいぐるみとして販売されており。

姉さんは色々と見比べて選び・・・・伸びたウサギのぬいぐるみが良いと言うと。

悠一は姉さんにプレゼントすると言って購入し、プレゼントすると。

姉さんはあまりの嬉しさに舞い上がっており、それを見ながら悠一は家に帰ると。

悠一は自分の部屋に戻り・・・姉さんと映画を見ている時からずっと届いていたメールに目を通し始めた―――――――――

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