第365話 2回目のウェーブ戦
―――――――――――――――自宅
由里の家から出る頃にはすっかり夜になっており。
家の中に入ると、姉さんが現れたのだが・・・・
「悠ちゃん・・・ちょっと遅くないかしら?
放課後から数時間も悠ちゃんが出てくるのを待っていたのに・・・・・どこで何をして遊んでいたのか・・・詳しく教えてくれるわよね?
―――――――――フフフ。」
「姉さんただいま・・・その前にお風呂に入りたいんだけど。
先に入ったらダメかな?」
いつも二人で帰るのが日課となっていた姉さんの事を完全に忘れていた悠一は怒り気味の姉さんに時間稼ぎをしようと悠一はお風呂に入ってもいいかと提案すると。
姉さんはお風呂だけは認めると言って逃がすと。
悠一はすぐにお風呂場内で放課後の由里の家で調理の練習をしていた件についてどうやって伝えるか考えに考えたが。
誤魔化しても怒るだけだと考えた悠一は素直に言う事にして風呂から上がって姉さんの元に向かうと・・・・
「話す覚悟ができたのなら・・・話しましょ。
で、何があったの?悠ちゃん・・・誰かに虐められてたりするの?」
「ん??いや・・・そう言うのじゃないんだ。
昨日から由里が少し変だったから少しでも悩みとか不安が取り除けたらなと思って調理を習いに行っていたんだ。
グロリアをしている時のユリハはもっと笑っていて・・・あんなに寂しそうな顔でプレイしているのは見ていられなくてさ・・・勝手なことをしてゴメン。」
悠一は最終的には自分で勝手にしたことと言って姉さんの謝ると。
姉さんは悠一の頭をそっと撫でて褒めていた。
「そうか、本当に悠一は優しくていい子だ。
だが・・・私にひと言もなかったのはNGだったけど・・・
由里さんが元気になったのなら私の事は構わないのだが。
悠ちゃん・・・由里さんから何を教わったの??
私はそれが少し気になり始めたのだけれど??」
「えっと・・・コンソメスープとグラタンを教えてもらったんだ。
姉さんや由里みたいにうまくできるかわからないけど・・・今度ご馳走するよ。
―――――――――――ん?姉さん?」
姉さんは悠一からのご馳走すると言うワードにやられてしまい。
少しふらふらしながら夕食を並べ、2人揃って夕食を食べ始めた。
「コホン・・・急かすわけじゃないのだけれど。
悠ちゃんはいつ・・・そのグラタンをご馳走してくれるのかしら??」
「えっと・・・材料があればいつでも・・・その、姉さん?」
姉さんは箸を止めてグラタンの材料となるものを悠一に聞きながら探し。
由里に教わった材料はグラタンの素以外は全て家に揃っており。
今週のどこかでその料理を振舞って欲しいと姉さんが言い出し、その表情を見ると拒否できないと言うような顔をしており、悠一は小さな声で返事をして食事を済ませてから部屋に戻った。
「まさか・・・由里から教えてもらった料理を姉さんの為に作る羽目になるなんてな・・・・まぁ、いっか・・なるようになるだろ。
それじゃお待ちかねのグロリアにログインするか。」
1人でブツブツいいながら悠一はグロリアにログインすると・・・
「ムクロッち~~こっちこっち~~~ユリハもみんなもこっちにいるよ~」
「ん?どうしたんだ・・・って、ウェーブイベントか!!!悪い忘れてた!!」
始まりの都の入り口に出てくるとクーリアに呼ばれてフィールドに向かうと。
ウェーブイベントの参加者でごった返しになっており。
ユリハ達と合流するまでに多少の時間がかかったが何とか合流でき。
遅れてやってきたミストとも無事に合流すると、ウェーブイベントが始まった。
「さぁやるぞ!!!
今回のモブは・・・虫系のモブか・・・・ん?ムシ?」
「うッ・・・こんな時に限ってムシのモブをチョイスするって・・・運営は何を考えているのよ・・・・」
「ニシシ・・・あれぇぇ??ユリハって虫のモブが苦手なのォ??
だったらぁ・・・私たちがもらっちゃうねぇ~~~」
「クーリア・・・わざとらしい方は止めなさい。
こういった苦手なモブは誰にだっているに決まっているでしょ?」
「ぬあぁぁぁ!!!ムシの糸でぐるぐる巻きなのじゃァ~~~誰か助けて欲しいのじゃ~~~」
「待ってて!!今助けるから!!!エイッ!!あ―――――――」
ムシ相手のウェーブイベントにユリハはあまり点数を稼ぐことはできず。
ユキシロを助けようとしたファムは同時にユキシロを刺してダメージを入れると言った事故もありながら1戦目のウェーブイベントは何とか無事に終わり・・・・
「うぅぅ・・・まさか強化モブに巨大ムカデが出てくるなんて思わなかったよ。
私・・・今回は全然ポイントが稼げなかったよぉ・・・」
「あはは、ドンマイ。
次の2戦目は頑張ろうぜ。」
「んお??ムクロッち!!みんな!!!話してるうちにモブが現れたよ!!
2戦目は植物系のモブだね・・・あのツタが面倒なんだよなぁ。」
「そうね・・・あのツタに脚を取られて丸呑みされないように気を付けなさいよ。」
「うむ!!了解なのじゃ!!!
今度こそはファムに刺されないように頑張るのじゃ!!」
「だ、だからアレはワザとじゃないって!!!
早く助けようとしたら・・・・きゃぁぁぁぁ!?なにこれ!!!!
誰か助け・・・・・ぐばぁッ!?ンンンンンッ!?!?」
「マズい!!!ファムがいきなり植物に捕食されてしまった!!!
――――――――――早く助けに行くぞ!!!」
と、ムクロたちの見ている先ではファムが上半身をぱっくりと食べられており。
脚をじたばたさせてもがいており、すぐに助けに行こうとするが。
その行動を阻止するかのように違うモブが前にゾロゾロと現れ――――――
「ここは私たちが道を切り開くから!!!
ムクロ君はファムをお願い!!!」
「そうだな!!!私たちの中で一番早いのはムクロだからな!!
さぁ!!!道は切り開いた・・・ファムの元に行ってくれ!!!」
「あぁ!!!クイックシフト!!!!
――――――――うおぉぉぉぉ・・・ブレイブダンス!!!!」
ムクロの渾身のスキルによってモブの体力が消滅し、ズドンと音を立てて崩れ落ちた先には衣服が少し溶かされたねとねとのファムが現れ・・・・
「ムクロ~~ありがと。
本当の本当にありがと!!!あのまま食べられてたらどうなってた・・・か?
ん・・・ムクロのぉぉぉぉ・・・エッチ!!!!」
「ちょっ・・・・まッ!!!!グハッ!?」
自身の状況を知らずにムクロの手を掴んで振っているとムクロが視線を合わせないと不思議に思い。
自身の姿を見たファムはランスでムクロを殴り飛ばしていた。
「もぅ・・・ムクロは本当に・・・エッチ何だから!!」
「今回の場合はムクロが少し可哀そうに思えるのだが・・・
それよりもファムはこれでも着ているといい・・・少しは露出を押さえられるだろうし。」
そう言ってミストはアイテム欄から長いローブをかけてやると。
ファムは溶けた衣装が見えないように着こみ。
ぶっ飛ばしたムクロに近づいて謝罪した。
「その・・・さっきは殴り飛ばしてごめん・・・
私を助けてくれてたのに・・・その・・・本当にゴメン!!」
「アハハ・・・それだけ元気ならよかった。
それに、まだウェーブ戦は終わってないからじゃんじゃん倒そうぜ!!」
「ムクロ!!!いつまで寝転がっている気なんだ!!!
ファムと話していないでこっちに手を貸してくれないか!!!」
「ムクロッちぃ~~~こっちもオタスケ~~~ぶげッ!?」
「仕方ないわね・・・ムクロの代わりに私が助けてあげるわよ・・・
――――――――――ソニックスライス!!」
クーリアを捕食したモブにエリがスペルを撃ち込んで倒すと。
そのスペルの衝撃でクーリアは飛び出し、エリにもう少し丁寧にできなかったのかと怒鳴りながら目につくモブにそのイライラをぶつけていた。
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