第237話 採掘場での暴走と脱出
―――――――――――――砂漠フィールド:ギルド専用採掘場
ライザーは初めて戦った時より断然強くなっており・・・攻撃にスキを見せず、逆にこちらのスキを狙おうと精密に動き、周りにいる警備兵もライザーを応援するのに夢中でアヤカに近づくものがいなかった。
「ムクロォォォォ!!!お前の攻撃はこんなもんじゃねぇだろぉぉぉがよぉぉぉ!!!
――――――――――ブレイクシュート!!!」
「ぐッ・・・・へへッ・・・わかってんじゃん!!!ハァ!!!ゼイアッ!!!
んじゃ、ここからは少しだけマジでやってやるよ!!!
――――――――――――クイックシフト!!!!」
ライザーのスキルを剣で受け止め、加速スキルで一気に間合いを詰めてライザーの首元で剣を止めると・・・アヤカの方から声が聞こえ―――――
「そ、その・・・手に持つ剣を捨てろ!!!
そして、ライザーさんから離れろ悪党め!!!」
「はぁ・・・はいよ・・・これでいいか??
だったらお前はソイツを放すのが常識だろ??」
「何をコソ泥が!!!やっちまえ!!!」
「おい、お前ら・・・・ヤメロ・・・・勝手なことを・・・・・くッ・・・」
「ライザーさんはここで見ててくださいよぉ~~
俺たちがこのコソ泥をボコっちゃいますんで!!!オラァッ!!!」
「ムクロッ!!!この・・・・ちょっと放しなさいよ!!!」
6人の警備兵にサンドバッグにされ・・・体力バーが黄色になったところで異変が起きた――――――――
「おいコソ泥さんヨォ・・・もうおしまいなのか???
つまんねぇのッ!!!よし、その女からモブのエサか俺たちのエサにするか!?アァァ??」
「ちょっとそこのライオンヘッド!!!あんたムクロと知り合いじゃなかったの!?よくもこんな・・・・こんなこと・・・・あんた達は絶対に許さない!!!」
「すまない・・・・俺は俺でここの責任と言うモノがある・・・すまない。」
「おいおい、ムクロォ・・・・オマエァ・・・こんなザマァでいいのかヨォ??
俺に少しだけ遊ばせてくれよォ・・・な??イイダロォ???」
「手加減しろよ――――――――――」
その回答に左腕が黒く染まり・・・・押さえつけていた警備兵は気味悪がって咄嗟に殴ろうとした時、左腕が勝手に動き取り押さえていた男を片手で投げ飛ばした。
「なッ・・・・なんなんだ・・・コイツァ・・・・ムクロなんだよな??」
「あぁ・・・オレはオレだが・・・・黒い方のオレかなぁ???
んじゃ、このムクロが手加減してやれってGOしたんだ・・・手加減してぶっ殺してやるよ!!!」
「これってもしかして・・・暴走!?くっ・・・エーテル体を取って早く逃げないとマズイわね――――――――――
そこのライオンヘッド!!早くあんたも逃げるかしないと消されるわよ!!!」
「こ、こっちは数がいるんだ・・・・やっちまえ!!!!」
「うおぉぉぉぉぉおぉおお!!!!」
5人の警備兵が向かってくる中・・・武器が欲しいと遠くに投げた自分の剣に左腕を向けると、剣が吸い寄せられるように飛び出し・・・手に収まり、
「いいぞいいぞ!!!もっとかかって来いよ!!!そんなクソみてぇな攻撃で俺をやれるとでも思ったのかァ!?
お前たちはヌルイ・・・ヌルスギル・・・・ゼェェイアッッ!!!!」
警備兵たちを片っ端から吹っ飛ばして気を失わせ・・・最後の1人を斬る瞬間・・・身代わりにとライザーは斧でガードをするが、自慢の斧が剣の一撃で砕け散り、その光景を見た警備兵はフッと気を失っていた。
「邪魔をするなよ・・・ケモノ大将・・・・邪魔すんなら・・・お前から・・・・
ぐっ腕に力が入らねェ・・・そうかよ・・・リミットかよッ!?ムクロの野郎・・・・もっと遊ばせろよ―――――――
・・・・・命拾いしたな、お前ら―――――――」
ライザーに攻撃を仕掛けようとした瞬間・・・意識を集中し、アルスから主導権を奪い返すと左腕の黒化も元に戻っていつものムクロに戻っていた。
「ガハハ・・・なんだか知らねぇが・・・厄介な力だなソレ。
コイツらが伸びてるうちに逃げるんなら今のうちだぜ??
俺は武器を壊され戦いの最中・・・意識を失ったと言えば問題はないはずだ。
で、そこの嬢ちゃんがずっと銃を構えてムクロを見てるが・・・・大丈夫か?」
「アヤ―――――――カ??」
「動くな・・・お前はムクロなの??イマイチ目の前にいるのがムクロなのかどうなのか確認のしようがないけど・・・そうだ、何か私が納得できるキーワードを言いなさい。」
アヤカにハンドガンを向けられながらアヤカの納得するモノを考えに考え・・・・
「今日マガジンを作ってた顔がいつもよりキラキラしていた!!!これでどうだ?」
「ばぁ、バッカじゃないの!!!」
「うぉッ!?あぶねーな!!!銃を人に向けて撃つなよな!!!!
おい、本当にコイツはムクロの仲間なんだろうな???」
恥ずかしさの余りアヤカはライザーに向けて数発発砲し、ライザーのふさふさの毛を貫通させ・・・ムクロ本人と確認するとライザーと別れの挨拶をすることなくすぐにここから離れ、始まりの都に戻った。
「やっと戻ってこれたな・・・・それにしてもよかったのか??
あの集めたエーテル体を捨ててきて・・・・」
「ん?な~んのことかしら???コレ・・・な~んだ?」
アヤカはフルチャージされたマガジンをチラチラと見せつけ・・・マガジンにキスをした。
どうやらあの戦闘中に隠れながらマガジンを回収してチャージしていたようで・・・ウキウキしながらホームに入る前の玄関口で、ユリハ達にこのことを話すことを禁じられ・・・アヤカはいつものようにホームに入って行き、玄関でムクロを見かけたユリハが中へ入ろうとしないムクロを不思議そうに見ていた。
「どうかしたの?なんだか疲れた顔してるけど・・・・何か・・・あった?」
「いや、別に・・・・でも疲れたのは確かだな。
ちょっと街にぶらぶらっと出かけるか?
こういう時はレイ達に教えてもらったクレープを食べて忘れるのが一番だよな・・・・」
ユリハは辺りをキョロキョロと警戒し、誰もいない事を確認するとムクロの腕にギュッと抱き着きながらクレープ屋に向かうと・・・・
「あ、ムクロさん!!!こんに・・・えっと・・・お久しぶりです!!!
って・・・で、デート中でした!?」
「ハッハッハ!!!こりゃいい身分だねぇ~ムクロ~ハムハム・・・・」
クレープ屋に着くとリィとロロ姉妹が2人仲良くクレープをハムハムと食べながら声をかけてきた。
「まぁ・・・デートって言うかただぶらぶらと歩いてクレープでも食べようかとユリハを誘っただけだが?」
「もう・・・ムクロ君のバカ・・・・そう言うのをデートって言うんだよ??」
「何だか・・・ムクロさんって可愛いと言いますか幼いところありますよね。」
「だね、ユリハはデート気分なのにムクロがこんなじゃねぇ~ムクロ~女の子との遊び方知らなさそうだもんねぇ~」
と、絶妙にリィとロロにからかわれながらユリハとクレープを注文すると・・・
「で、2人のラブラブデートはこれからどこに向かうのさ??」
「お姉ちゃん!!そう言うのは聞いたら駄目だよ?
ごめんなさい・・・お姉ちゃんが変なこと聞いちゃって・・・」
「構わないさ、特に行く予定も何も決まってないんだ。
ただ、このクレープを食べて疲れを吹っ飛ばそうと考えてただけだから。」
「はぁ・・・ムクロ君って本当にストレートだよね。
でも、たまにこうやって2人で出かけられるだけで私は嬉しいけどね・・・・フフ。」
ムクロの素直過ぎる答えに興味を持たず、リィとロロはムクロとの関係等のコイバナを話始め・・・話に入りようのないムクロはクレープを受け取ると1人でベンチに座りながら空を眺めていた――――――――――
―――――――――――――――始まりの都:商店街
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