第222話 中層の途中で・・・

―――――――――――――――天世界:下層の間


黒い天使の消滅を確認すると・・・ノーツの剣を地面から引き抜いてノーツの倒れている場所に向かうと、ノーツはかろうじて意識を取り戻して状況を確認すると急に笑い出していた。


「あははは、本当にボクたちを倒しに来たプレイヤーとで・・・あの黒い天使を倒しちゃうなんて・・・・でも、ボクはこの様子じゃみたいだ・・・ついやり過ぎちゃったのかこんな有様だね、君と真正面からにやり合いたかった―――――」

「何を言っている??まだ間に合うだろ!!

ここでやらないでいつやるって言うんだ!!さぁ立って私と勝負しろ!!」

「ミスト・・・そ、そうじゃ!!!ホラ、肩を貸すのじゃ!!」

「ふん、今日のミストにユキシロは熱いのね・・・誰に似たのかしら。」

エリは誰に似たのか見当が付いているのか笑みを浮かべながらこの戦いを止めることなく見守り、ノーツは消えかかる体に力を入れるが足に力が入らないのかフラフラしながら剣を受け取り呼吸を荒くしながら攻撃を仕掛けてきた。


「くッ・・・・あはは・・・これで最後って所で力が全然入らないけど・・・でも、この最後の一撃くらいはボクの全部を込めて放つよ!!!

――――――――――突き抜けよ!!!狂い抜くバーストソード!!!」

「ならばこちらも全力でだ!!!

―――――――アークブレイク・レイ!!!!」

互いにスキルを放つが、ノーツのスキルはミストを過ぎ去って後ろ側に来ていた黒い天使を貫き・・・役目を終えたかのように剣は消滅し、ノーツの方も限界が来たらしく光の柱となって消えて行った。


「ノーツが消えてしまったのじゃ・・・・」

「体力バーが消滅していてアレだけ動けたのが奇跡よ・・・だけど、今は悲しんでる場合じゃないわ・・・私たちはまだ動けるのならムクロたちを追いかけないと。」

「そうだな、ノーツ・・・お前と共に戦えたことを誇りに思う・・・そして、私たちは先へと進む!!行くぞ!!ムクロたちの元へ!!」

下層にいた天使ノーツと黒い天使との熾烈な戦いを終え・・・向かったであろ中層を目指してミストたちは駆け出すと、先の区間で大きな爆発が起こり・・・誰かが戦っている様子であった。


「ハァハァ・・・・こんのぉ!!ちょこまかと!!!

やいやい!!そこの黒い天使!!!降りて戦えってのよ!!!

―――――――サンダーボール!!!」

「んなもん、ハイわかりましたって言って降りるマヌケ天使がいると思うのか???あぁん???

―――――――カースドフレイム!!!」

「クーリア!!!防衛するからじゃんじゃんスペルで攻撃してくれ!!!」

「援護射撃は任せて!!

―――――――見えたッ!!!そこだ!!!」

「翼に着弾!!アヤカ、もう片方の翼もお願いします!!!

くッ・・・これだから魔法は面倒なんです――――――――」

黒い天使は空を飛び回りながらスペルを放っていたが・・・アヤカの狙撃によってバランスを崩しながら飛び続け、空から降り注ぐスペルに注意しながらクーリアやアヤカが攻撃していると・・・黒い天使の援軍がやってきた。


「お前ェ遅いゾ!!!コッチは翼を潰されたんダ・・・その分の働きを見せロ!!」

「それがモノを頼むタイドかよ?ダガ、コイツらは他ノ天使と違っテ楽しめそうダな!!!

―――――――ブラッディーアロー!!!」

「みんな、背を低くして!!!相手側にも狙撃者が来たわ!!」

「どうやらそうらしいな・・・ハァッ!!!

クーリアたちは俺とユリハの後ろに隠れろ!!!矢は俺たちが!!」

「うん!!!ハァッ!!!

――――――――4連星突きフォースターレイン!!!」

無数の弓矢の攻撃に対して、俺とユリハの対応で何とか矢を回避できたのだが・・・弓矢とスペル使いの遠距離部隊が厄介で手を焼いていると―――――


「何よ何よ・・・ザコじゃない真っ黒天使がこんなところに・・・

で、アンタ達がセレタスの言ってた侵入者ね――――――

まぁアンタたちの相手はコレで遊んだ後でしてあげるから・・・ソコで待ってなさい。

ハイハイ、私のオモチャの天使ちゃん・・・出撃ィ~~」

「見て、ムクロ君・・・天使があんなに・・・・それに名前もしかして・・・・・」

「あぁ、アイツは俺たちが初めて天世界で出会った天使の1人で・・・ファムの兄を刺して致命傷を与えた張本人だ。」

「それって・・・ヤバイって事じゃない!?

それにファムがジールを追ってここまで来たらどうなるか――――――」

「ですが、この機会を捨てるのは惜しいです。

あの天使と協力とは言いませんが、援護をして黒い天使を倒すことが第一かと思われますがご主人様、どういたしますか??」

この状況から考えるとジールの援護をしながら黒い天使を討伐してから最後にジールと戦う方が安全と考え、俺たちは黒い天使に向けて攻撃を開始した。


「ぐァッ・・・下のプレイヤードモメ・・・・この天使ノ加勢ヲする気カ・・・・」

「だが、先ずハ・・・目の前ノ天使からダ・・・そこをドケッ!!!」

「やっぱり、この程度の天使隊じゃ意味ないかぁ・・・私が動かないといけないのは酷く面倒だけどにできるのなら、許しちゃう!!!よッ!!!

ブチ貫け!!!天啓の槍ィ!!!!」

「あのスキルは・・・あの時のスキルか――――――」

空に赤黒い光がほとばしったと思えば・・・黒い天使の1体の体を槍が貫いて地面に落ちていた。


「まずは・・・黒いの一匹ィ~キャハハ・・・・本当に、君たち強いのォ?

――――――――――てんでゴミじゃないのぉ??」

「・・・・・オイ・・・そろそろ発動しないのカ???」

「――――――――ハァ~~わぁってル・・・カースドリバーサル発動!!!」

「なッ!?落ちてくる天使が急に光りだしたよ!?

しかもアレって・・・・ムクロ君の復活系モーションに似ている・・・」

「そうですね、もしかすると・・・あの黒い天使はワザと槍を受けてこれを狙っていたのではないでしょうか??」

「って、なると・・・これはマズいな。

おい、ジール!!!そいつは危険だ!!!早く態勢を整えろ!!!」

状況が変わったことを注意をしたが、ジールは注意を無視し・・・黒い天使の異様な輝きを見ていると、光の中から俺とは違った灰色の装甲を付けて黒い天使が飛び出してきた。


「カースドリバーサル完了・・・さぁ、戦いの続きを始めよう・・・」

「少し悠長に話せるようになったからっていい気になってんじゃないわよ!!!

ただ黒いだけのパチモン天使風情が!!!

――――――――――転移、スパイラルランス!!!」

「あんなスキルを隠してたのか・・・だが、何だこの胸騒ぎは―――――」

鎧の天使の背後から槍のスキルが発動し・・・貫いたかのように思えたのだが、槍は天使の装甲に触れる前に障壁のようなもので守られて停止していた。


「ふ~ん、少しは楽しめそうね・・・それじゃ、ジャンジャン飛ばしていくわよ!!!

止められるもんなら何本でも止めて見なさいよ!!!

まぁ、その前にアンタが消滅しちゃうんだけどね!!!!

――――――――――天啓てんけいあめ!!!!」

「ふむ、これはマズイ・・・何と言う槍の数ダ――――――」

「仕方なイ、俺が援護ヲ・・・ぐッ!?体が動かン!?ダト!?」

「悪いけど・・・私たちもいることを忘れてもらっちゃ困るよ??

アヤカ!!!ガンガンとやっちゃってよ!!!」

「任せて!!!止まってる目標なら余裕でドンピシャよ!!!

―――――――――発射ファイヤー!!!!」

クーリアので身動きを取れなくした天使に対してアヤカはアサルトライフルに武器を変えて乱射し、翼を粉砕して地上へ落とすと同時にジールの天啓の雨が発動し・・・2体の天使は無数の槍に穿たれ、瀕死の重傷を受けていた。


「ぐぅぅ・・ガハッ・・・ココまでだが、お前はまだやれそうだナ・・・ならば、この命をモッテお前に強化ヲ!!!」

「させないってぇの!!!!」

「チッチッチ・・・お前じゃ、遅すぎる。

―――――――――シャドウブースト!!!」

「なッ!?加速してジールの槍を自分から突き刺して受け止めたの!?」

黒い天使は自らの体を引き換えに、鎧の天使に強化を施して消え去り・・・ジールの槍を掴んでいる鎧の天使の装甲が剥がれ落ち、中から異様な姿をした化け物が現れた―――――――


―――――――――――――――天世界:中層付近

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