第208話 相合傘お隣争奪戦
――――――――――――――校舎内
暗い表情の姉さんと由里の元へ近づくと・・・その手には人数分の傘はなく、誰かがペアで傘に入らなければいけない状況で・・・俺は気を使って姉さんと一緒に帰るからと言おうとした瞬間―――――――
「ちょっと待ったァ!!それ以上は悠一でもメッ!だよ?わかった??
コレはすでに聖戦が始まってるんだよ?見てわかんない?
この由里達の闘気を・・・・」
「そんなの・・・あるわけ――――――」
「悠一君・・・それはダメだよ?だって・・・私も一緒に傘に入りたいから・・・」
「フフフ、悠一・・・わかってるじゃないか!!!さぁ私と共に相合傘で帰ろうじゃないか!!!」
「そうはさせない・・・悠一には選ぶ権利があるけど、私たちにも選ぶ権利はあると思うの・・・だから今回の相合傘は悠一の隣を奪う争奪戦になるわね。」
だんだんと話がややこしくなりそうだと思いながら下駄箱まで移動し・・・由里達は争奪の方法を公平にじゃんけんで行うらしく、耀子は何やらぶつぶつと唱えながら力を込め・・・姉さんはいつでも来いと言わんばかりにのりのりで、コトハの合図で皆が集まり・・・じゃんけんが始まり、4度目のじゃんけんで勝者が決定して移動を開始した。
「それじゃ、ひとまず商店街まで移動だな・・・・」
「え?このまま帰るんじゃないの???雨だけど大丈夫かな??」
「由里、このまま耀子に好き勝手にさせといていいのかしら??
きっと、耀子の事だから調子に乗って好き放題に悠一とからもうとするはずよ??」
「うぇぇ~帰りたかったけどみんなの目が怖いから仕方ないかぁ~ねぇ~悠一ぃ~」
「おいおい、耀子・・・そんなにくっ付いて来るなよ・・・歩き辛いし濡れるだろ!?」
勝者は耀子で、皆に見せびらかすように俺に腕に抱き着くと・・・コトハと姉さんが寄ってきて俺と耀子を引き離し、移動を再開した。
「ふぅ、油断も隙もないな・・・・商店街の道のりがここまで長く感じることはなかっただろうに。」
「そうだね・・・耀子の行動がエスカレートする前に早く商店街に付かないかな~」
「そう言っている間に商店街が見えて来たわね・・・とりあえずここからは傘はいらないから安心ね。」
「ちぇッ・・・いい所だったのに~ねぇ??でも、商店街だし仕方ないね。」
「やっと解放された・・・で、今回はどこに行くんだ??」
俺達は商店街に到着し、どこに向かうのかを尋ねると・・・いつもの喫茶店でお茶をすることになり、喫茶店まで歩き始めた。
「で、帰りの分はどうするの??
また私が相合傘していいの??」
「耀子、商店街までと聞いたでしょ??
つまり、帰りは帰りでじゃんけんか何かしらで悠一の隣を奪い合うのよ。」
「あはは・・・でも、今度こそは私が勝って―――――」
「俺は何でもいいけどさっさと移動しないか???
――――――――ちょっと肌寒いし。」
俺の発言で気付いたのか皆も少し肌寒いと言って・・・すぐに喫茶店に移動して店内に入り、いつもの席に座って各自注文すると―――――
「今日は雨だけど・・・本当に今日実行するの??」
「そうだな、だが状況はどうあれ言った事は実行しないとな・・・如水さんにも連絡したし。」
「ふむ、如水さんと連絡を取ると言ってたが・・・あちら側がどれだけこの事態の情報を知っているかがカギになるな―――――」
「うん、それに・・・天空城が誰かに発見されて話題になる前に早く何とかしておきたいしね。
本当にユキシロの言ってた天空城が天世界そのものだったら大変な事になっちゃうかもしれないし。」
「調査は調査・・・悠一、戦闘する場面が来たらできる限り逃げるか隠れるかして戦闘を避けないといけないわよ?こちらの行動パターンを見せるだけで適対応されるのも面倒だから。」
と、ごちゃごちゃ話している間に頼んでいたモノが届き・・・俺はコーヒーにミルクだけを入れて書き増せると・・・
「悠一って砂糖入れない派なの???
私はコーヒーにも紅茶にも砂糖入れちゃうけど・・・」
「そうだな、俺は基本的にコーヒーとか紅茶は甘くしない方が好きだが甘いのも時々飲むけどあの味は嫌いじゃないかな。」
「へぇ~悠一君ってもっと甘いのが好きそうなイメージだったんだけど意外だったよ。
そう言うところが何だか少しだけ大人っぽいね。」
「そうだな、悠一は家でもこんな感じだ。
私が入れるコーヒーもミルクを入れるかそれともブラックのまま飲むんだ。
昔は砂糖なしじゃ苦い顔して飲めていなかったのに・・・成長したと言うかなんというか私は複雑な気持ちでいっぱいだよ。」
「ズズ~~~私はコーヒーよりも紅茶の方が好きだわ・・・
だって色々なフレーバーが楽しめて飽きないから。
別にコーヒーを悪く言うつもりはないのだけれど・・・そう言う事だから。」
コトハが付け加えるように言いながら紅茶をズズ~~っとすすりながら飲み・・・
冷たい雨からつかの間の休息だったのだが―――――
「よし、それじゃ・・・飲み食いが終わった事だし・・・遊びに行っちゃう??」
「そうだな、たまにこうやって皆で遊ぶのも悪くないしな・・・姉さんは時間大丈夫??」
「あぁ、今日はシフトがないからその辺は気にしなくていいぞ。
悠一達がやりたいことがあればすればいいさ。」
「それじゃ、あのお店行っちゃう??」
「あぁ・・・最近できたドーナツ専門店のこと??いいんじゃない??
さっきは飲み物だけだったし――――」
と、言う事で急遽ドーナツ専門店に移動して・・・ドーナツを食べることとなったのだが、ドーナツの種類が多くどれがどういう味なのかわからず困っていると・・・
「悠一、これはココナッツを生地に練り込んだドーナツで・・・これはチョコよ。
ふふ・・こういうやり取りは昔のグロリアのようね。」
「そうだな・・・それじゃ、俺はコレとコレにするかな。」
「悠一君は甘さ控えめのドーナツだね!私はこのシュガーとハニーにしようかな。」
「見てるだけでわかるよ・・・ソレ、すっごく甘そう・・・・」
「そうだな、私はレモンとシナモンのドーナツにするかな。」
各自、自分の好みのドーナツを買い・・・席について食べると、今まで食べたことのない新鮮な味で俺はパクパクっと食べてしまった。
「これ、美味いな・・・こんなドーナツは初めてだ。」
「悠一君が喜んでくれてよかったよ!はむはむ。」
「うぇ・・・由里ってば相当な甘党だね・・・私もびっくりだよ。」
「ふむ、悠一はこういう味が好みなのか・・・メモメモ。」
「涼孤さんはマメね・・・でも、悠一が好きな味なら私も味を覚えておこ・・・・」
ドーナツ屋で新たな一面を見せた由里に対して、姉さんとコトハは何やらブロッサムでメモを取っていた。
そして、その状況から耀子は食べかけのドーナツの味見をしないかと俺の口に捻じ込んで来た。
「ほ~れ、これ美味しいから悠一も食べてみ~~~」
「もごごごご!?」
「なッ!?耀子!?そんな美味し・・・ううん、悠一君の口に無理矢理入れたらだめだよ!!」
「悠一大丈夫か??ホラ、背中をさすってやろう。」
「はい、お水・・・あ、ごめん・・・ソレ私が飲んだお水だったわ。
まぁ、気にしなくていいからグイッと飲みなさい、さぁ遠慮しないで・・・ぐいっと・・・ぐいぐい!!!」
俺はコトハから水をもらい・・・その水を飲んでいると、耀子と由里の新線がさらに増し・・・2人は自分たちの水もと言って俺に水を差しだし、ついでとばかりに姉さんまでもが水を置き・・・またこういう場面かと思いながら俺は全部の水を飲むとお腹の中が水で揺れるのを感じた。
「悠一君だ、大丈夫??
皆の分のお水を浴びるように飲んだけど・・・気持ち悪くない??」
「うぅ・・・少し水腹になったが、問題ない―――――」
「これは重傷だな・・・」
「そうね、私たちも少しやり過ぎたわね・・・と、色々あったけど悠一が回復するまでもう少し休憩ね。」
コトハがぼそりと呟き・・・ぐったりした俺の体調が回復するまでの間ドーナツ屋でもう少しだけ休憩することになった―――――――――――
――――――――――――とあるドーナツ屋
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