第199話 ショッピングモールでの出会い

―――――――――――商店街:大型ショッピングモール


相手の武器はソードを使うプレイヤーで開始の合図と同時に突っ込んできていた。

鎧などの装甲は装備しておらず、軽装でスピードに特化したスタイルであった。

そのため、想像よりも移動は早く攻撃速度も申し分なかったのだが・・・・


「―――――――――捉えたッ!!そこだ!!!!」

「残念、それは・・・影だッ!!!なんてな・・・・」

俺は空いての攻撃をスルリと回避し、距離を取ると・・・相手は武器を構え直して笑い出していた。


「アーーハッハッハ!!さっきの攻撃は会心を込めたんだが・・・・まさか避けられるとか・・・アンタ、相当グロリア上手い人だろ!!

いやぁ・・・良かった!!その、まぁ聞いてくれよ。

ここでPVPを貼って待ってるには最適なんだ・・・食べ物も銀行もあるから・・・だが、唯一足りないモノがあるんだ・・・それは、なんだ・・・最近だと、小さな子供プレイヤーが入って来るもんだから・・・マジな戦いができてなかったんだ、でも・・・アンタは違うな・・・切られて泣くようにも見えねぇし。」

「そりゃ・・・ここは、この辺じゃあまりない大型ショッピングモールだからな・・・子供のプレイヤーも多く来るだろうな。

だが、今日はと思ってくれていい・・・戦える時間はツレが買い物をしている間だが・・・それまで楽しく戦おうぜ!!!

俺はムクロ・・・アンタのプレイヤー名前ネームは??」

ムクロは自己紹介をすると・・・相手は武器の構えを解いて自己紹介をした。


「俺の名前はデラント・・・しがないプレイヤーさ・・・武器もいい能力付かねぇし・・・防具は買ったはいいものの重すぎて動けねぇわで・・・散々だっての。」

「デラントもグロリアで色々と苦労しているんだな・・・こっちはこっちで仲間に振り回されっぱなしの大変な毎日で・・・同情するぜ・・・・」

俺たちは戦いを放置しながら愚痴を話し込んでいる間に、由里達が戻ってきており・・・話を少し聞かれたのか、怒りのスイッチが入っており・・・・

――――俺はデラントに問題が発生した事を伝えると・・・デラントは主催権限でPVPを中止し、俺はフレンドコードをデラントに渡すとすぐにログアウトして戻ったのだが・・・・


「悠一・・・戻ってきてみたらPVPをしてるわ、悪口が聞こえてるわ・・・どういうつもりなの!?」

「そうだよ!!でも、そりゃ・・・私たちも少し遅くなっちゃって悪いと思うけど・・・」

「えっとだな・・・2人とも少し落ち着いてくれ・・・

お、そうだ・・・俺、少し甘いものが食べたいな・・・どこかに何かいい所はないモノか―――――」

俺はこの状況が長くなりそうと踏み・・・場所を変えるために独り言のように言うと、由里がこのモールにあるいいお店があると言い・・・俺はそこに行こうと2人に提案すると、由里は「分かった」と言い案内を始めた。


「でも、悠一って本当にPVP好きだよねぇ~まったく呆れちゃうよ。

私たちが下着を選んでる間くらいは我慢してると思ったのに。」

「それは悪かった・・・あまり来た事ない場所にはどんなプレイヤーがいるのか気になってな・・・これもグロリアの面白い所だからな。

なかなかやめられなくてな。」

「はい、悠一君・・・ここがそのお店だよ。

今回の件をチャラにしてほしかったら私と耀子の分のスイーツバイキング代よろしくね♪」

俺は今回の件がこれでキレイに水に流せるのであればと、2人の代金を俺が支払い、店員に案内された席に座るとすぐに由里と耀子はお皿を持ってケーキを取りに行った。


「はぁ・・・スイーツバイキングって結構するんだな・・・1人1800円・・・俺の小遣いが・・・・」

「ただいま悠一・・・って・・・どうしたの?そんなにしょんぼりしちゃって。

時間は90分だからしっかり食べないと勿体ないよ!!」

「悠一君、私たちは取ってきたから今度は悠一君の番だよ。

私たちはここで待ってるから、ゆっくり選んできていいよ。」

2人の皿には色々なケーキが盛られ、2人は互いのケーキの味見もしながら楽しんでいた。

そして、俺は皿をもってケーキを選んでいると・・・・


「――――――ねぇ、悠ちゃん・・・どうしてここにいるの??」

俺の後ろからバイトに出かけたはずの姉さんがウェイトレスの格好をして俺の後ろから声をかけてきていた。


「その、姉さんのバイトって・・・ここだったのか・・・世間は狭いな。

いや、そんな事より・・・今、由里と耀子とでここに来ているんだが・・・・ちょっと2人を怒らせちゃってだな・・・」

「ふむふむ、悠一の事だ2人の買い物中にPVPでもしてた口だろ?

――――――――――無言と言う事は・・・まさかその通りだったのか・・・この・・・・バカ弟!!

――――――あはは・・・申し訳ございません・・・

―――――――私はまだバイト中だから何ともしがたいが・・・2人にはキッチリ自分から謝って、ちゃんと許してもらうんだ・・・あと、そことそこのケーキはこの店の看板メニューだ・・・持って行ってやるといい、それじゃ・・・幸運を祈る。」

俺は姉さんに言われた通りに看板商品を皿に取って、席に戻ると・・・まずは2人にさっきの事について謝罪すると・・・2人はすんなりと許し、俺の持って来た皿のケーキをジッと見つめていた・・・・


「その・・・なんだ・・・一口、食べるか?」

「え、いいの!?さっすが悠一ぃ~~物分かりがいいねぇ~~~それじゃ、さっそく・・・・パクッ!・・・うんまぁ!!ナニコレ!?メチャ美味しい!!」

「へぇ・・・それじゃ、私も・・・パクッ・・・本当だ、すっごく美味しい!!」

2人の反応リアクションは本当に美味しいモノを食べたというようないい顔で、ほっぺが落ちないように支えていた。


「このケーキはどこにあったの??どこどこどこ!!!」

「これは、えっと・・・そこの奥にある―――――――」

「あはは・・・聞くとすぐに行っちゃったね・・・・

でも、このケーキ本当に美味しい。

――――――そのケーキ、もう一口食べてもいい?」

由里は紅茶を飲みながらしみじみと言いうと・・・俺はケーキを一口分に切り・・・由里の口元に運んでやると、由里は小さな口でパクリと食べて頬張っていると――――――


「目を離すとまた、これだよ・・・いい加減に空気と言うモノを呼んで欲しいなぁ・・・バカップルさん・・・」

「あはは・・・見られちゃってた?」

「その・・・何だ・・・ゴメン。」

耀子は味見して気に入ったケーキを乗せて戻ってくると・・・ケーキをやけ食いして・・・再びケーキを取りに向かった。


「あはは・・・耀子を怒らせちゃったね・・・」

「あぁ、タイミングが悪かったな・・・次に帰ってきた時にでも謝るか・・・」

俺たちは互いに苦い顔をしながらカップに口を付けると・・・耀子が大量のケーキを持って帰ってきた。


「その、耀子・・・そんなに沢山食べれるのか??

あと・・・さっきの事なんだが・・・悪かった。

――――――この通りだ・・・・」

「私もね、ついつい悠一君に甘えちゃって・・・ごめんね。」

「だったら・・・その・・・由里にしたアーンを・・・私にも・・・その・・・してくれたら・・・許す・・・かも・・・」

耀子の発言に由里とのアイコンタクトで耀子にも由里と同じようにアーンをしてやると・・・ケーキを丸々1つ分アーンで消すと・・・やっと満足したのか耀子の怒りモードが解除された。


「ふはぁ・・・これくらいで勘弁してあげるかな・・・」

「あはは・・・その割にはすっごくいい笑顔してるよ―――――」

「まさかケーキ1つ分を切り分けて口に運ぶとは思わなかったぜ・・・・」

満足げに耀子はジュースを飲み干し、残ったケーキもぺろりと平らげると・・・時間はまだあったのだが、買い物が優先であったため・・・惜しいと思いながら買い物に戻った―――――――――――


―――――――――――商店街:大型ショッピングモール

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