第98話 クーリアの秘策
――――――――クロスリンクPVP中
いつも平和なお昼休みのはずが、朝の耀子の発言によりこの屋上が戦場と化していた・・・・
「―――――ぐぬぬ・・・・さすがミスト・・・物理特攻だけのように見せて障壁の脆い部分を狙って来てる・・・・それにあの体力底上げスキル・・・あとどれだけの体力が残ってるのよ・・・・」
「はぁはぁ・・・・さっきの爆発は少し驚いた・・・まさか対人、耐近接用のスキルを覚えていたとは・・・・こうなると厄介だな、迂闊に飛び込む行為は死にに行くようなものだな・・・・
だが、近接の私からすれば・・・この体力量ならば連撃を加えれば勝機が見える!!!
――――――ハァッ!!!アークブレイク!!!」
ミストは自分の体力を確認すると、地雷陣のダメージで削り切られる前にクーリアを押しきれると思い勝負に出たのだが・・・・・
「ミストがそう言う性分だってこと私は信じてたよ!!
――――
ミストのアークブレイクが撃ち込まれた瞬間、ミストは自身のMPを全てを力とスピードに変換し・・・・近接を得意とする形態に衣装や見た目が変わり、ミストのアークブレイクを杖で受け止めた。
「くッ・・・・新たな変換系のスキル・・・自分の得意とするスペルを捨ててまで近接形態になるとは――――――」
「笑わせないでよミスト!私は別にスペルが得意とか好きなんじゃない・・・近接も何もかも全てが好きなんだよ!だから私はこのスキルを編み出した・・・・
そして、その証明に私はミストに勝つ!!」
クーリアは杖を構えミストに近接攻撃を繰り出した。
「くッ・・・・口からの出まかせではないようだな・・・・この杖の重み、その眼差し・・・・
ならばッ!私も本気で行かせてもらおう!!」
「出るぞ・・・この光の集まりは・・・黄昏戦争で使っていた、
ミストはクーリアを剣で弾くと・・・・スキルを発動し、ミストの持つ剣に光が集まりだし・・・巨大な光の剣へと変わった―――――
「それがミストの最強のスキル・・・・相手にとって不足なしってヤツだよ!!!」
「その戯言もどこまで言えるかなッ!!!ハァッ!!!」
ミストは光速に移動し、クーリアの背後から重い一撃を喰らわせると・・・普通なら、追う事の出来ない速さの筈なのだが・・・・ミストは攻撃を放つ瞬間にクーリアがこちらを向いている事に気が付いた―――――
「ありえない・・・見えていたと言うのか?
「やっぱりミストはすごい・・・ムクロっちの姉さんってこともあって近接じゃ一筋縄じゃいかないけど・・・・何とかなる・・・かも。」
クーリアは体力が半分くらいまで削れたものの、その目はまだまだ戦えると言う目をしていて杖を構えミストと対峙した・・・・
「さすがはクーリア・・・我慢強さと精神力は並じゃない・・・それでこそ戦いがいのあるってものだ!ならば、行くぞ!!
―――――――
ミストの繰り出した光の波は一直線にクーリアを襲ったのだが・・・・
「危ない危ない・・・・あと少しで丸コゲになるとこだったよ~」
「なッ!?あの一撃を見切ったのか!?」
先程までいた場所ではなくミストの横側からクーリアの声がしたと思えば、クーリアは無傷でそこに立っていた。
「驚いた?私の新しいスキル・・・・
このスキルはね、相手のスピードと自分のスピードを同じにするスキルで・・・・」
「そうか!ミストの速度は光速・・・それをコピーすればあの攻撃を避ける事も可能ってことか!考えたなクーリア!」
「もぅ・・・ムクロ君・・・落ち着いて・・・・まだ決着してないんだから静かにしてようよ。」
「そうですね・・・ユリハの発言が正しい・・・ですが、あのようなスキルを隠していたとは・・・クーリアとのPVPには少し対策が必要ですね・・・・」
「く・・・あはははは!いいぞ!流石、クーリア!!本当に本当に楽しいぞ!
ならば小細工なしの殴り合いでケリを付けようじゃないか!!!」
ミストはスキルが通用しないと悟ると、光速で移動し・・・クーリアとの近接戦へと流れていった――――――
「ハァッ!!!!」
「くッ・・・・まだッ!!そこだッ!!!」
「2人とも凄い・・・・あんな戦い見てたら私もうずうずしてきちゃう。」
「そうだな、この戦いはどっちが勝ってもおかしくない戦いだ・・・
この一瞬一瞬の攻撃と攻撃に互いの全てをぶつけ合う事で勝者と言う形で答えが出るだろうな。」
「ムクロはどちらに勝って欲しいの?」
俺はエリの質問に答えが出せず、ジッとこの戦いの決着がつくまで見守り続ける事しかできなかった。
「はぁはぁ・・・・ふふ・・・互いの体力が赤色バー少しだけ・・・
この一撃で勝敗が決まるな!
どうだクーリア・・・思い残すことはないか?」
「私が勝つからその言葉をそっくりそのままお返しするよ!!」
ミストとクーリアは互いに武器を構えると、最後の一撃を武器に込めて走り出し・・・・互いの一撃が炸裂した――――――
「あははははは・・・・まさかこれ程とはな―――――」
「あ~あ・・・最後の最後でこんな結果かぁ~でも負けるよりいいかも・・・・」
PVPの結果は互いの体力が同時に無くなると言うドローの表示が出ていた・・・
「2人ともお疲れ、この戦いは本当に凄い戦いだったな。
見てて俺達もワクワクして震えが止まらなかったんだぞ?」
「うんうん、で・・・これって引き分けだけど・・・どっちの意見が通るのかな?」
「そうですね・・・・引き分けと言う事で・・・私がムクロと2人っきりでバーに行くと言う事で――――」
「「それはダメ!!」」
倒れていたミストとクーリアが同じタイミングでエリの発言に対して却下すると、時計を見ると昼休みも殆ど残っておらず・・・俺達はログアウトすると、姉さんと耀子は急いでお昼を済ませると・・・自分達の教室に戻って行った―――――
「ねぇ~悠一~今日のあたし頑張ったんだから何かご褒美的な物はないの?」
「そうだなぁ~そうなると姉さんにも何か上げないといけなくなるな。」
「そうだ!それなら3人でバーに行けばいいんじゃないかな?
私今日は用事でログインできそうにないから。」
「私も今日は家族でお出かけするとかで・・・・帰り次第でログインするよ。」
コトハと由里は今日ログインできない可能性があるのであれば、彩花の行動次第で由里のプランが通るの事になるのだが・・・・
「そうなんだ・・・でも、涼孤先輩となら私・・・別に2人っきりじゃなくてもいいよ・・・・
誤解しないでね!本当は2人っきりが良いけど・・・今日くらいは別にいいかなって・・・」
「そうか・・・そう言う事なら姉さんにブロッサムで連絡しておくかな。」
「ふふ・・・なんか最終的には丸く収まって良かったね。」
「そうですね・・・・いい戦いも見れたので私も満足です。」
こうして、昼の屋上頂上決戦は引き分けと言うどっちつかずな結果で終わったのだが耀子や涼孤はこの結果に満足している点と勝者と敗者が出なかった点は互いにも俺達的にも結果的に良かったと言えるものであった。
そして、午後の授業も無事に終わると・・・校門前で由里や姉さん達と待ち合わせて帰る中、姉さんがふと思いついたかのように話し始め――――
「耀子、今日の戦いに免じて・・・悠一と2人で飲み会をするといい。
べ、別に私が負けを認めたと言うわけではないぞ!
ただ・・・今日の戦いはとてもいい戦いであった・・・
共に技と技をぶつけ合い、最後の最後まで戦ったからその褒美だ。
悠一も耀子をちゃんと楽しませてあげるのだぞ?」
そう言うと姉さんは用があると言って商店街の方へ歩いて行ってしまった。
「ううぅぅぅうう・・・やったァ!!!!悠一!今日は寝かせないゾッ!!」
姉さんが見えなくなると耀子が凄まじい喜びを爆発させながら俺との飲み会をどうするかと色々考え始めていたのだが・・・・
「――――由里、予定変更しないと・・・・何かあっては遅いわ・・・・」
「そう、だね・・・でも、少しくらいなら・・・今日戦ってた耀子ちゃんの顔・・・本気だったから少しくらいならいいかなって・・・・・」
由里の眼差しにやれやれといった様子で、コトハも今回の件もあり見逃すことにした。
そして、2人の事も気にもせず耀子は俺にくっつきながら帰り道を歩いて行った―――――
――――――――――下校中・・・・
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