第33話 大宴会
――――――――22時45分・・・・始まりの都:レミトの大酒場
俺たちは大型モブの勝利祝賀会と称して参加したプレイヤーたちとレミトの大酒場を貸し切りプレイヤーたちと食べたり飲んだりワイワイしていた―――――
「あのブレスったら何の・・・岩がなけりゃ俺たちみんな真っ黒こげのステーキランチになってらぁ!ハッハッハ!」
「そうっすよねぇ~何回も焼けこげそうになってマジでビビった・・・・」
「それにしてもミストは硬いな!双剣でガードしながら硬いドラゴンの爪を攻撃するなんて素人じゃねぇな!」
「いやいや、クーリアも魔法とサポートといい杖格闘術もマジすごかった!
うちの知り合いの魔法使い職もこれだけ動けたらいいんだがなぁ~」
この酒場に飛び交う話は俺たちの話が多くその中でもミストとクーリアは他のプレイヤーを守ったりサポートしたり戦っていたこともあってすごく人気であった。
―――その頃、俺は少し果実酒を飲みながら離れた席でリザルト画面やステータス画面を覗いていた。
「どうしたの?そんなに深刻な顔をしちゃって。
はい、これ・・・料理持ってきてあげたよ。」
果実酒を持ちながら俺の隣の席に座り俺の分の料理を持ってきてくれた。
「あぁ、ありがとう・・・こうやって皆で騒いだりするの初めてだからな。
どうすればいいのかわからなくってな。」
俺は皿に盛られた料理を食べながら話していると―――――
「私もね、ムクロ君たちと出会うまでは大体はソロで活動していて・・・私もこの状況は少し慣れてないの・・・えへへ―――」
誤魔化すようにユリハが笑い笑みを浮かべながらユリハは自分のステータスと今回のリザルトをスクロールして確認し始めた。
「でも、これからはソロじゃなくて皆がいるから心配ない。
俺はソロを卒業したしな・・・こうやって毎日馬鹿みたいに笑いあえるならソロを卒業してよかったと思う。
ユリハやみんなと出会えた事も感謝しないとな・・・ありがとうユリハ。」
「え!?・・あ・・う、うん!私もだよ!私もムクロ君たちと出会えて、こうやって皆で笑いあえるならもっと早くみんなでプレイするんだったなぁ~」
俺とユリハは再度果実酒で乾杯し、ぐいぐいっと果実酒を飲み干しながら一緒に皿に残った料理を食べた―――――
俺は今回の戦いでユリハに対してのこの不思議な感情が普通のモノではないと感じ始めユリハの姿を見ては胸に不思議な感情が溢れ出していた――――
―――――――ヒューーーン、バンバン!!!
大きな爆発のような音が聞こえたと思い酒場の外に飛び出し確認すると、始まりの都の感謝祭の花火の音で空にはいくつもの花火が上がり、空を彩っていた――――
「ムクロっち~綺麗だね~花火ってこっちにもあったんだね。」
「これは見事な花火じゃないか、この夏はもっとすごいのだろうな。
現実の花火大会と見比べるのもいいかもしれないな。」
「そうだね!この夏はみんなで海とか花火とか夏休み満喫したいね!」
「あぁ・・そうだな・・・確かに綺麗だ。」
俺の目には花火から降り注ぐ光に彩られたユリハの長い髪や顔に視線が離せなかった――――
「おうおう、ミストにクーリアこっちで飲みなおそうぜ~全部酒代は俺が払うんだ遠慮せずにばんばん飲んでくれ!はっはっは!!」
「そういうことなら思う存分飲ませてもらおう!」
「私もお酒いただき~ね~ムクロっちとユリハも・・・・ってアレ?
あの二人どこ行ったんだろ・・・・まぁ~いっか!
じゃんじゃん飲んじゃうよ!!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ごめんね、ムクロ君・・・手引っ張って急に飛び出しちゃって・・・」
「いや、それはいいんだが・・・ミストとクーリアが少し心配でな・・・迷惑かけてなかったらいいんだが。」
俺はユリハに手を握られ大酒場飛び出し花火が空を彩る中、走って人気のない静かな公園にやってきた―――――
「で、どうしたんだ?
急に飛び出したりして・・・ユリハらしくない。」
「そうだね、私らしくないかもだけど、その・・ムクロ君がずっと私を見てたから・・・その・・気になっちゃって・・・気にしすぎなのかな、でも何故か胸がムズムズするというか・・その、何かあるのかなって思って・・・」
俺はバレていないと思っていたがユリハからしたらバレバレだったようで――――
「その、花火の光がユリハと重なって綺麗だなと思ってな。」
「にゃっ!?・・・あ、・・・ありがと・・・」
俺はユリハと少し距離をとるが、とると同時にユリハが俺との距離を詰めてくる・・・・
「まぁ・・・そのなんだ・・そこのベンチにでも座って花火でも見るか。」
「う、うん・・・」
ユリハがスカートをにぎにぎしながら返事をすると、そっと俺の座るベンチの隣に座り花火を眺め始めた。
「花火綺麗だな。
これくらい綺麗なのかな?」
「ムクロ君、花火大会行った事ないんだ・・・ふ~ん。
じゃぁ・・・今度の夏・・一緒に行く?」
「一緒に行ってくれるのか!
――――この夏は楽しみだな。」
隣を見るとユリハがぐっと握りこぶしを作っている理由がわからないが俺はそっと花火を見直した――――――
「でも・・・俺となんて行っても楽しくないかもしれないけどいいのか?」
「いいに決まってる!・・・私は前にも言ったけど・・・ムクロ君の事が好きだから・・・現実でも
「あはは・・・・ユリハ・・・声が大きい・・」
俺の一言にユリハが顔を真っ赤にして俺をぽこぽこと叩きながら尋ねてきた。
「ムクロ君は・・・まだ、結果出てないよね・・・私ってば急ぎすぎたのかな~」
「いや・・・俺もユリハのことが好きなんだと思う・・・今日の大型モブ戦の時ユリハがやられそうになっていた時すごく不思議な感情だったんだ・・・
いつもとは違う感情、そしてユリハを見ていると言葉にならない感情が・・・」
「それってもしかして・・・・」
「あぁ・・・俺もユリハが好きだ。
つまり、Yesだ――――」
俺がユリハに遅い告白の返事をするとユリハは俺に抱き着き―――――
「私も大好きだよ・・・ムクロ君・・・」
「―――俺もだ、ありがとう・・・ユリハ。」
そして花火が二人を照らし祝福せんとばかりに瞬く中、俺とユリハは友達という概念よりさらに深い結びつきとなっていった――――
――――――――――――23時34分・・・始まりの都:公園
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