第26話 2人の秘密の思い出。
――――――――17時50分・・・・森林フィールド:安全地点
俺はユリハをイスで休憩させている間にBBQの準備をしていた――――
たき火はよしっと・・・あとは、イノシシの肉を調理用にすればOKだな。
――――俺はユリハを呼びに向かうと、ユリハはレイピアの練習をしていた・・・
「はぁっ!!!ていっ!!!やぁッ!!!」
先程のボアとの戦いが相当悔しかったのか、いつも穏やかなユリハの顔が少し冷静じゃなかった・・・・
その光景に俺は居ても立っても居られず、ユリハに近づいた。
「ユリハ・・・レイピアはもっと繊細に・・・そして足や腰に体重をかけるように踏み込み、弱点を目掛けて撃つんだ。」
俺はユリハのレイピアの持ち方や姿勢、弱点の見分け方を教えると、先程のボアとの戦闘よりも格段に戦闘スタイルに磨きがかかっていた―――――
「ムクロ君、ありがとう!すごくやりやすくなったよ。」
「喜んでもらえてよかった、それとBBQの準備ができたからユリハを呼びに来たんだ。」
俺はユリハをたき火のある場所まで案内しBBQを始めることにしたのだが――――
「ムクロ君、もしかして・・・イノシシの肉を木に刺しただけ・・・なの?」
「ちゃんと味付けはしたけど・・・何か問題あった?」
俺が自信満々に答えるとユリハがため息をついて、イノシシの肉と木の棒をばらし始めた――――
「いい?BBQは香辛料と網とで繰り出すものなの。
まずこのたき火の上に私の持参して来た網を置いてっと・・・・
それにイノシシの肉の味付けをこの私、特製の香辛料と付け替えね。」
俺はユリハの指示でイノシシの肉の味を付け替えユリハのタイミングで肉を焼き始めた。
「―――ムクロ君、こうやって一緒にお肉を焼くだけでも楽しいでしょ?
これもBBQの楽しみの一つだと私は思うの。」
「あぁ・・そうだな。
俺は木に刺して焼くくらいしかしてこなかったから、ユリハがいなかったらBBQもロクに味わえてなかったのかもな、ありがとう・・・ユリハ。」
俺は笑いながら肉を返しながらユリハに感謝すると、ゆっくりとユリハが頷くとユリハも肉を返し、BBQのお肉が焼きあがり―――――
「さぁ~食べるか!」
「ちょっと待ってムクロ君、まずは・・・これで乾杯しましょ。」
そう言ってユリハは果実酒を取り出し、コップに注ぎ始めた―――
グロリアの世界ではたばこやお酒の害がないということで未成年でもお酒やたばこと行った現実では許可されていない事も可能になっている。
もつろん、現実では未成年の法は存在する。
「ユリハ、よくこんな高い果実酒手に入ったな。
ルーコ印の狐屋の果実酒・・・俺もまだ飲んだ事のない未知のお酒・・・」
「うん、知り合いに狐屋で働いている友達がいてそこから買えた逸品なの。
こう言う時の為にBOXに寝かせておいたんだよ。」
ユリハが説明しながら俺にコップを手渡した。
「ムクロ君・・・乾杯の挨拶よろしくね。」
「俺はそう言うのあまりなれていないんだが・・・コホン。
ユリハと俺の初めての共同狩猟を祝して乾杯!!」
「カンパーーーイ!!」
俺とユリハはコップをコンッと打ち合わせると同時に果実酒を浴びるように飲み干した――――
「これは・・・ウマイな!
さすが狐屋の果実酒・・・それに、このイノシシの肉・・いやユリハ特製のこの香辛料が最高だ!」
ユリハはガツガツと肉を頬張りながら食べる俺を見て笑いながら小さな口ではむはむと食べていた――――
「いやぁ~食った食った・・・ユリハ、ご馳走様だ~ぷはぁ~」
「うん、御馳走様。
私もグロリアで久々にたくさん食べた気がするよ・・・(ムクロ君と一緒だからかな・・・)」
「ユリハ・・・顔が赤いけどお酒のせいかな?」
「うん!そうだよきっと!ははは・・・(もぅ・・・バカ)」
ユリハは笑いながらお酒を少し飲み、俺の隣に座った――――
「ムクロ君、ホラ・・・現実だと見れないくらいグロリアの夜空って綺麗なんだね。」
「あぁ・・・森林フィールドだから更に星が綺麗に見えるのかもな。
そう言えば、こうやって星を眺めることも、ソロではしたことなかったかな。」
グロリアの夜は現実と同じで並行して進み夜空は現実世界だとあまり星空は見えないがグロリアの一部のフィールドや町などではこうやって綺麗な夜空を見る事が出来る。
―――ソロでプレイしていた頃は日々強くなる事だけを探求し、こういった夜空を見たり誰かと外で食事をした事がなかった――――
「でも、本当にすごい夜空だ・・・・こんなに星があったんだな。」
「うん、私も初めてだよ・・・・ムクロ君と一緒に夜空を見れて良かった。
私ね、今日ムクロ君と一緒に戦ってわかったの、無理に一人で強くなる必要がないんだって・・・・私にはムクロ君がいて、ムクロ君には私がいる・・・そして私たちには皆がいるから。
だから、急がなくてもいいんだって。」
「あぁ、そうだな・・・急ぐ必要はない―――
俺は皆と少しでも多く、このグロリアを楽しみたいと思っている。
色々なイベントやクエストを皆で楽しむ事が俺の今の存在意義だから。」
俺が星を眺めながら話しているとユリハが俺にもたれかかってきた。
「うん・・・私も、皆やムクロ君といっぱい思い出を作りたいと思ってるよ。
その・・・もたれたら・・・ジャマ?」
「いいや、ジャマじゃない。」
俺はユリハをもたれかけさせ、今後のことを考えながら夜空の星を眺めていた――――
――――――――――18時35分・・・・森林フィールド:安全地点
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます