第11話 螺旋の塔の頂を目指して・・・
――――21時45分・・・プライベートルーム内・・・
「ねぇ・・・ムクロ君・・この人どなた、かな・・・説明、してくれるよね?」
「ムクロ君!いつまで手を握ってるの!?
早くその手を離しなさいよ!」
ユリハとクーリアはすごい剣幕で俺の方に寄り、ミストと俺の距離を離した―――――
2人は何を興奮しているんだ?
そうか、まだこのミストが誰なのか知らないから混乱しているのか・・・・
「ミスト、この2人が俺のフレンドで同じクラスメイトと先輩なんだ。」
「「なっ!?」」
「ムクロ君、この人が誰かもわからないのに勝手に言わないでよ~」
「その意見には私もクーリアと同意見だよ、ムクロ君・・・ちゃんと理由話して。」
ユリハとクーリアに少し怒られながら俺はミストに全てを話す許可を得てからユリハやクーリアにミストが俺の姉さんだということを話した――――
「このミストってアバターがムクロ君のお姉さんだったなんて・・・とんだ無礼を・・・」
「私も、失礼しました・・・ミストさん、ムクロ君がまた厄介事を引き起こしたんじゃないかと思ったけど・・・何事もなくてよかったよムクロ君。」
「本当にいい子たちが友達で良かった。
私は先程も言ったが、ムクロの姉の「
一時はどうなるかと思ったが、ユリハやクーリアともリアルネームやこれまでの流れや現在の情報を把握し合い、現在系で進行しつつある黄昏戦争の情報も共有した――――
「ふむ、大体の情報は理解した―――
私をこれからはミストと呼んでくれて構わない。
そして、私も君たちの事をユリハやクーリアと呼ばせてもらう事にするよ。」
そう言って3人は握手を交わし、フレンド登録を済ませるとこれから何をするか話しあいになり・・・・謎の建造物
―――――――――――――――22時8分・・・謎の建造物「仮名:螺旋の塔」入口前
――――荒野フィールド12層の砂嵐が吹き荒れる中、遠くには建造物や建物は何も無いはずなのだが、時間により砂嵐の中であるはずのない建物の影が見えその建物が存在するのか確認するべく1人のプレイヤーが建物の前まで向かったが抑えられない興奮と探索心が勝り入ることを決意した。
――――この建物の不明点が多くあったためフレンドや一部の情報屋に砂漠の建造物の情報を送り塔の中へと入り、塔から戻ったという情報が無い事から何かしらの罠や仕掛け、巷では幽霊の仕業と言ったオカルトのような話まで出てきていた―――――
「―――と、私が知っている情報はこの辺りで・・・・それがこの目の前にある塔なのよ。
螺旋を描くように天に伸びた塔・・・・この建物はランダムダンジョンやそう言った類の中では上位クラスの難易度と不明な点が多くあって今だに攻略した人がいないと言われた建造物系ダンジョン、仮名:螺旋の塔・・・・」
「私も少しだけ噂を聞いた事があるけど・・・実在した建造物だったんだね・・・」
「こんな大きな建造物もあるのだな、私は色々ダンジョンを探索したがこんな大きな塔は初めて見たわ。」
俺たちは塔の大きく開いた入り口前で最後の作戦会議を開始した――――
作戦は回復役のクーリアを中心とし、剣士の俺たちがクーリアを防衛しながらモブを倒して頂上を目指すと言う一般的な作戦であった――――
「「「了解」」」
「いざ、建造物ダンジョン攻略開始だ!」
慎重に建造物の中に入ると、上へと続く階段があった。
「建造物1階にはモブはいない・・・宝箱や罠もナシか。
よし、上へ向かうか。」
俺たちは注意しながら2階に着くと建物に異変が起きた――――
―――――警告警告、これよりこの塔は頂上踏破またはPT全滅するまでの間・・・閉鎖、認識阻害の防衛装置により外界から隔絶されます――――
―――カウントダウン開始・・・3・・・2・・・1・・・・閉鎖及び隔絶開始・・・・
俺たちは注意しながら進んだ結果、塔の防衛装置のようなシステムに引っ掛かりクリアか全滅するまで外に出られない状況になってしまった――――
「皆、すまない・・・俺がもう少し慎重になっていればこんなことには・・・」
「ムクロ君、気にしないで・・・・頂上までいけばいいんだから、頑張って上を目指そうよ!」
「そうだよ、ムクロっちは変なところで繊細なんだから~」
「ムクロ、私もシステムに気付けなかった愚か者よ・・・でもね、心が折れない限り私たちは負けてないの。
だから、頂上まで目指すわよ!」
3人の励ましを聞くと俺たちは頂上を目指すべく階段を探し登り進み始めた――――
―――――22時24分・・・・4階フロア
「くそ・・・・ボーンソルジャーとか死霊系が多い・・・・」
「ムクロ君、援護するよ!」
「ホラホラァ~サポートだよッ!」
「さぁ、お姉さんの剣技を見せてあげよう!!」
4階までフロアを登り進むとモブが出現し始め――――
―――モブは塔の中で息絶えたプレイヤーの亡骸がモンスター化した死霊系が多く。
死霊系は物理に対して耐性が強く魔法剣やクーリアのような魔法が使えるものがいなければ対処するのが大変なモブである――――
「ムクロっち少しMP回復するから維持よろしく!
えぇっと・・・MPポーションっと・・・」
「皆!さっきのボーンソルジャーからのドロップでこの塔の地図が落ちたよ!」
「ナイス、ドロップ!!さすがユリハだッ!くそ・・・やはり硬いな!!」
「ムクロ、呼吸を合わせて!行くわよ!コンビネーションアクセス!!」
俺とミストは姉弟ですぐに呼吸の合うコンビネーション技を繰り出しボーンが一瞬で崩れ去っていく――――
その間にクーリアは失ったMPを回復しながら回復や補助魔法をかけ、ユリハは地図をグループで使えるように複製の紙でコピーしていた。
「よし、ひとまずこれで片付いたな、ミストも皆お疲れ。」
「皆、お疲れ様。
ムクロはやはり慣れている分攻撃と判断力が早いわね。
勉強もこれくらい熱心だとお姉さんは嬉しいのだけれど・・・・」
「あはは、ミストもすごい早い剣捌きだったけどね・・・
私も途中でMP尽きちゃったし・・・回復は多めに持ってきているから大丈夫だとして・・・
ユリハ、地図はコレで合ってるのかな?」
「多分合ってると思うよ。
ドロップした地図が正しければ、あと21階登れば頂上に着くね。」
ユリハから複製し、貰った地図には塔の構成や階層全てが記されており、現在4階にマークが付き、最上階は25階と記されてあった――――
少しペースを上げないと今日中に塔の攻略は不可能と思い、大胆な作戦を考え皆に伝えた。
「勉強は駄目だけどこういうゲームには本当に頭が回る子ね、ムクロは・・・でもその作戦は多分私も正解だと思うわ!」
「私もムクロっちの作戦なら乗るよ!
魔法を唱えるのも面倒になってきたし。」
「そうだね、良く考えてみると番人やそう言った大型のモブがいないね・・・・
そう考えると私もその作戦で行けると思うよ。」
俺の考え付いた大胆な作戦とは、25階までの階段を全力で何かにぶつかるまで地図を見ながら移動するというモブ無視作戦であった。
―――――なぜなら、上る系の建物ダンジョンの場合はキーモブの打破やフロアボスや番人と言った上に行かせないようにする障害が普通はあるのだが、4階まで登ってきた段階でそれらしき障害が存在せずボーン系のモブを倒したからと言うような仕組みで登って来たわけでもない事からそう言う結論に至った。
――――そして、不明な点はそのシステムが確定なら、何故上にしか登れない塔を此処まで厳重に隔離しているのかだ・・・・
頂上に向かわせ何をさせたいのか?がこの塔の謎を深めていった。
だが、そのような不明な点だけで考えていても答えは出ない、そう―――
答えは、クリアした者のみが得られる特権であり、敗者に与えられない唯一無二の宝とも言われる。
「さて、そうと決まれば25階まで一気に走り切るか。」
「この体で走るのは大変だけど・・・頑張るわ。」
「アハハ・・・ムクロ君、じろじろ見ないでね・・・恥ずかしいから。」
「ユリハもミストも何を気にしてるのさ?
ムクロっちに皆、それじゃアクセルUPとスピードUPかけるよ!
効果切れは1分後だから、ステータスの下に出るタイマーをちゃんと見て行動してね。」
ユリハやミストが見るなと言うが俺は何を見ないようにすればいいのかわからないままクーリアは皆にバフをかけ終わると、俺たちはすぐにその場から出発し、25階までの移動を開始した――――
―――――――――――――22時35分・・・・4層階段、登り開始。
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