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「やだ、柚葉まだわからないの?恋をすると女は変わるのよ」


 陽乃が色っぽい眼差しで私を見つめた。


「恋って……。望月さんと上手くいってるんだ」


「柚葉が熱で魘されている間に、留空は卒業しちゃったの」


「卒業って?」


 留空は真っ赤になり、手をパタパタさせた。


「陽乃、食堂で話さないで」


「小声で話してるから、誰にも聞こえないよ。望月さんに『眼鏡外した方が可愛いよ』って、ベッドで囁かれたみたいだよ」


「……っ、いつの間に」


「恋は一瞬で燃え上がる。打ち上げ花火みたいなものね。柚葉はまだ線香花火?それとも点火すらされてないのかな?

 私達、毎日年下君に柚葉の様子を聞かれたんだけど進展ないの?」


 毎日……

 日向が陽乃達に……。


「な……にもあるわけないでしょう」


「本当かな?柚葉が風邪を引いたくらいで連続休暇まで取り、実家に戻るなんて初めてだよね」


「それは父が東京に転勤したから」


「それだけ?吉倉さんが柚葉と年下君が親密だと吹聴してたわよ。今朝なんて、一緒にモーニング珈琲飲んだとか?」


「やめて、そんな関係じゃない。吉倉さんが話を盛ってるだけ」


「吉倉さんは年下君狙ってるからね。二人は同期だし、同じ寮だし、美男美女だし、お似合いだけど」


 陽乃はフォークにパスタをくるくると巻き付ける。


「年下君に興味ないなら、木崎さんにしなさい。留空みたいに素直になれば、一瞬で恋に堕ちるわ。ねぇ留空、恋愛ってキモチイイでしょう」


 陽乃がいうと、ちょっとエッチだな。留空はもう真っ赤っ赤だ。


 でも地味で真面目な留空が、あっさり卒業するなんて、正直驚いた。


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