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「まじで?よく留空がシンデレラだとわかったね。陽乃、ほらみなさい。全ての男が女の容姿に捕らわれてるわけじゃない。見てる人は、ちゃんと見てるんだよ」


 美空はズバズバと思ったことを口にする。


 まるで自分が意中の男性に誘われたみたいに、勝ち誇った眼差しだ。


「はいはい。留空、望月さんは意外と清楚な女性が好みだとわかったけど、メイクはヨシとして、せめて眼鏡は外しコンタクトにしてね。コンタクトにしただけで、留空は可愛くなるんだから」


 陽乃は携帯電話を置き、やっと食事を始めた。褒めているのか貶しているのか、よくわからない。


 留空と美空が一足先に席を立ち、私は陽乃と二人になる。


「世話の焼けるシンデレラだよ」


「陽乃……まさか……。あの電話……」


「留空とは友達だからね。友達の恋にちょっと手を貸した。留空と美空には内緒ね」


 陽乃はニヤリと口角を引き上げる。


 さっき携帯電話でLINEしていた相手は望月!?


 望月は本当は留空に気付かなかった。陽乃がLINEで知らせ、口裏を合わせたの?


「陽乃、留空を傷つけないでよ」


「当たり前でしょう。そんなことをしたら、私が彼を抹殺する」


 親指と人差し指でピストルの形を作り、「ばんっ」て妖艶に笑う。


 陽乃は口は悪いけど、友達のことを誰よりも気遣っている。ついていい嘘と悪い嘘。この嘘がどう転ぶかは、留空次第だな。


「柚葉はどうなの?木崎さんのこと本当に振る気?勿体ないよ」


「私は……」


「気になる人がいるの?例えば年下とか」


「……っ、そんな人いないよ」


「わかりやすいな。確かにイケメンだし爽やかな好青年に見えるけど、あの年下君は危険な香りがする」

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