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 私は……

 虹原に応じることは出来なかった。


「そういえば……。日向さんと雨宮さん汐留の独身寮ですよね?独身寮の友達から聞いたんですけど、日向さんと雨宮さん毎日二人で仲良く食事してるって本当ですか?」


「……えっ?」


 もうそんな噂になってるの?驚くほど、女性の口は軽い。


「毎日じゃないよ。たまたま同じ時間だったから同席しただけ……」


「独身寮って、男女は壁で仕切られていて、食堂でもみんな一緒に食べたりしないんでしょう?友達が、二人はいい雰囲気で付き合ってるみたいだと言ってました」


 友達って誰よ。

 山川の同期なら女子寮に数人いるけど……。


「その友達に言っといて『誤解しないで』って」


「そうだよ、山川さん。柚葉には医師の恋人がいるの。年下の男性社員と付き合ったりしないわ。柚葉は世話好きだから、庶務課として世話を焼いてるだけだよ。ねっ」


 いつの間にかロッカールームに入り込んだ陽乃が、勝手に恋人宣言をする。


「花柳さん、雨宮さんに医師の恋人って本当ですか!?」


 目をパチクリさせている山川に、陽乃は意地悪な笑みを浮かべる。


「本当よ、だから虹原さんも日向さんも眼中にないわ。柚葉はこう見えて、実はモテるんだからね」


 制服のボタンを外した山川の豊かな胸元に、陽乃は視線を落とす。


「赤いブラとレースは刺激的で情熱的ね。でもバストはBカップ。柚葉の方がサイズは大きいし、形も綺麗ね」


「……っ」


 山川は慌てて胸元を隠す。


「山川さん、男はカラダではなく会話や仕草で落とすものよ。若いだけじゃ男は落とせないの。二十七のオトナを舐めないでね」


「私そんなつもりでは……」


「そうかしら?さっき柚葉に勝ち誇った顔してた」


 徐々にヒートアップする陽乃。でも、確かに山川は、豊かなバストをちらつかせ勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。


「陽乃、もうよして。山川さん気にしないでね」


「雨宮さんすみません。雨宮さんに恋人がいるなんて知らなくて……」


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