第二嘘
*『六兆年後の告白と僕の狂気』
本編
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昔話をしようか。俺と彼女の出逢いの話を……。
アレはそう。桜が満開に咲き誇る卯月だったと思う。
其処で彼女は笑っていたのだ。案内地図を見て、何度も何度も見ながら始業式のある体育館を探してた。
だから声を掛けたんだ。困ってる人を助けるのは普通の事だろう?
「あの……若しかして新入生の人ですか?」
「へ? ……嗚呼ハイ。ちょっと道に迷ってしまいまして……」
「僕も今から体育館に行くんで、一緒に行きますか?」
「お願いします!」
彼女は俺の誘いに大きく頷いて頭を下げる。
はっきり言って俺はたったそれだけの事で恋に落ちた。
だけど……
「ごめーん迷ってた!」
「あはは何してんのさ〜(笑)」
「もう怖かったよ〜周りは知らない人だし、ユミちゃん達居ないし〜」
「でも来れて良かったじゃん?(笑)」
「そうだけど!」
彼女は友達と笑って自分の席に着いた。はっきり言ってあの笑顔を傍で思う存分見れる友人達が、妬ましくて疎ましくてどうにかなりそうだった。
嗚呼俺以外にその笑顔を向けるな。その笑顔で俺以外の誰かに話し掛けるな。その笑顔で……ブツブツ
頭が妬ましさ疎ましさおぞましさで一杯一杯だったよ。……まァコレを俗に言う『嫉妬』なのだろうが…………
そうやって君は俺以外の誰かに笑い掛けるのだろう。
そうやって君は誰かに話し掛けるのだろう。
嗚呼妬ましい。嗚呼疎ましい。嗚呼嗚呼嗚呼! 今すぐこの手で君を俺だけのモノにしたい! 今すぐ君が笑い掛けた人を殺したい! 今すぐ君が話し掛けた人をこの世から消し去りたい! 君は俺だけに愛されていれば良い。君は俺だけに抱かれていれば良い。君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君は君はーーーーーーーーーーーーーー!!
…………………………………………君は俺だけのモノなんだ。
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