Middle2: 危機状況に呉越同舟

GM:では、「もう安全だろう」という距離にある廃ビルの屋上にて、一旦貴方達は立ち止まった。


フランコイズ:「ちょっと! いつまでこうしてるの! 降ろしてよ!」


竜胆:「ああ、すまない。……そんなに暴れるな、この高さから落ちたくないだろう」

 でもふわっと下ろしてやる。



 フランコイズは軽く咳払いをしてから話し始める。

「……さっきも言ったけど、あなた、あのジャームを連れ帰りたいんでしょう? 私は、とある性悪の依頼主から、あれの性能試験をするように言われている。あれを無力化するところまでは、私とあなたの目的は一緒……でしょ? その後どうするかは終わってから考えるわ」

 そういいつつ、内心では目の前の彼が『王子様』かどうか見定めている。

「私は“命短し恋せよ乙女マスター・ライラック”。少しの間私と一緒に行動する気はない?」


竜胆:「性能試験……なるほどな。確かに利害は一致しているようだ。しかし……」

 上から下まで、改めてフランコイズを見る。

「……本当にマスターエージェントだったとはな。君の依頼主は余程上位のメンバーなのだろう」


フランコイズ:「……そうね。権力だけなら相当なものだわ。そうじゃなきゃあんな女さっさと殺してる」


竜胆:「何にしろ君が強力してくれるというのなら、こちらとしてもありがたい話だ。よろしく頼むよ」と手を差し出す。


フランコイズ:「ええ、よろしく」そう言って手を握る。


竜胆:じゃあ、そうだな。ちょっと嬉しそうな顔をしよう。普段女の子には恐がられがちだからな。


フランコイズ:それをみてきょとんとする。

「まあいいわ。あれがあの程度の崩落で死ぬとは思えない。多分じきに動き出すでしょう。できれば先手を打って仕掛けたいところだけど……」GM、フランコイズは、“ヘカトンケイル”についてどのくらいのことを知ってる?


GM:そうだなぁ……ぶっちゃけ、渡された資料にあったのは「絶対無敵」「春日恭二完全敗北」「魔眼ヤバい」ってぐらい。


竜胆:春日さん!?!?(ガタガタッ)


フランコイズ:春日さん完全に捨て駒扱いじゃない……。


GM:まず試しに春日さんを吹っ掛けたけど実力差あり過ぎてテストにもなんなかった感じ。これ以上については……情報:FHやってくれないとね?


フランコイズ:あら、やっていいのかしら?


GM:ただ、情報収集をしようにもここは廃棄区画……インターネット設備等を探す必要がある。


竜胆:ああ、なるほど。まず調査手段を確保する必要があるのか。


GM:手段は2通りある。「包囲しているFHの黒服達にお願いする」もしくは「廃棄区画で設備を探す」だ。


竜胆:俺は確実に後者だな。


GM:前者はイベントが発生、後者は調達判定:難易度8を行ってもらう。


フランコイズ:私も後者ね……こんな状況で貴重な戦力と離れたくもないし、幸守の様子を近くで見ていたい。


竜胆:君がうまく誤魔化してくれるならついて行っても良いんだが……。


フランコイズ:……そんなわかりやすい見た目のUGNエージェントをごまかせるとでも?


竜胆:はっはっは(目を逸らす) まあ、データ的にも異形の痕があるからな。


GM:黒の竜鱗……和服……言い逃れできませんね。


竜胆:でもイベントもかなり気になるんだよな。


GM:じゃあ、判定してもらおうか。


竜胆:じゃあ社会で…クリティカル! 達成値は16だ。


GM:では、貴方は捨ててあったパソコンと電話線を見つける。これで何とか情報収集は出来るだろう。


フランコイズ:おお!


竜胆:「“マスターライラック”、これはどうだ。使えそうか」と持っていく。


フランコイズ:じゃあ少しいじってから……

「うん。使えると思う。私の権限を使えば、ヘカトンケイルに関する情報にアクセスできるはず……!」ってことで情報収集。


GM:〈情報:FH〉で判定どうぞ。


フランコイズ:達成値13。

「うん、ある程度はわかった。でもこの先には、わたしの権限じゃアクセスできない。私より上位のエージェントにロックされてる。やっぱりあの女か……」


竜胆:「随分と上司に苦労してるんだな……」と苦笑しておこう。


フランコイズ:「上司というか、仇というか……まあいいわ。とりあえず、これ。あなたも目を通しておいて」分かったことは全部教えるわよ。


竜胆:「いいのか?……いや、助かる。ありがとう」


フランコイズ:「……別に。この閉鎖空間で、外部との連絡手段はこのパソコンしかない。終わったらあなたを始末すればいいだけだし、あなたに情報を渡すことでわたしに不利益はないわ。むしろ、奴を無力化するのが楽になる」


竜胆:「君は随分理詰めで考えるんだな。……俺はそういう利害の計算は苦手だ」と情報に目を通そう。


フランコイズ:私も情報に目を通しながら、幸守の言葉に答えるわ。



「効率的に生きないと……私には、時間がないから……」

 そう言う間も、彼女の肌からさらさらと砂が零れ落ちる。

「時間がない……?」

「ええ。あなたさっき、私がなんでマスタークラスの力を持ってるのか疑問に思ったでしょう? ……実験で、私の命は凝縮されたのよ。大きな力を得る代わりに、命を削る、そんな実験」

 悲しそうな訳ではない。フランコイズはただ淡々と、事実を話す。

「……あと、2年。長くても、私はそれしか生きられない」

「2年……」

 急な告白に、竜胆は何を言っていいか分からないような顔をした。



竜胆:「……君は俺よりも若いだろうに」


フランコイズ:「そうね。力を使いすぎれば、命を縮めるわ。そうじゃなきゃ、“UGN急進派のエージェントあなた”と長々と問答なんてしない。……いいえ、そんなことはどうでもいい。今は“ヘカトンケイル”よ。これはかなり厄介ね。特にあなたも私も、こいつとは相性が悪いわ」


GM:さて、そう悩んだ時だ。遠くから、あの廃工場で聞こえた音が聞こえてくる。


竜胆:げっ…?!



「暴れてるのか?近くは無いようだが……」

 不意に聞こえた音に二人は顔を上げ、そしてその音が等間隔で鳴っている事に気が付いた。彼らは、それが“足音”に過ぎないのだと理解する。

 黒鎧の巨人がただ通るだけで、周りの廃ビルは揺れに耐え切れず崩れていく……そして何よりも問題なのは、その“足音”が一直線にこちらを目指していることだった。



竜胆:「さすがに屋上はバレるか……くそ、シンドロームの影響もあるんだろうが、どんな重量をしてるんだ奴は……!」


フランコイズ:「やっぱり、あの程度じゃ傷もつかないか。まだ近くはない……でも、こっちに向かってる。こちらから少し仕掛けてみましょうか? 少し交戦したら、一度退くわ。その交戦データをもとに分析すれば、あいつの能力が少しはわかるかもしれない」


竜胆:「逃げてばかりじゃ何も分からない……か。分かった、応戦しよう。ただし、危なくなったらまた抱えて逃げるからな」


フランコイズ:「ええ、隙さえ作れれば、あなたの足なら私を連れてでもあいつから逃げられることは実証済みだから、大丈夫」




◆開示された情報

『ヘカトンケイル』

 シンドロームはキュマイラ/バロール。あらゆる攻撃が通じず、攻撃すれば《復讐の刃》もしくは《迎撃の魔眼》によって必ず反撃される。

 また、過去に同じコードネームのオーヴァードが存在したという記録がある。

以下の情報収集項目が解放される。


『ヘカトンケイルの倒し方(難易度50、ミドル戦闘の結果によって変動)』

『ヘカトンケイル(古い?) (難易度11/14)』



フランコイズ:ところでGM、離脱って、ちゃんとデータ的に『離脱』の後『逃走』する必要がある?


GM:うんにゃ、それやるとかなり煩雑になるし、演出の都合もあるから、竜胆がオートアクションで『フランコイズを抱える』って宣言した後にマイナーで《斥力跳躍》で離脱、その後にメジャーで『逃走』を宣言すればそれで2人とも逃走できたものとみなすよ。

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