虹の向こうに
Next Stage
「ただいまー」
ウミネコに手を広げて飛びつこうとすると、ピタッと首に斧の刃を当てられる。
「ダメですよ。ちゃんと選んでくれてからでないと」
そ、そうなの? これもルールなのか。
おあずけをされた犬のようにしょんぼりと体を回すとチェコフが書状を持っている。
「またぁ?」
とさすがにげんなりする。一体いつまで続くんだ。
城の石壁も牢獄に見えてきた。これじゃまるで囚人じゃないか。
「あのぉ、ご囚人さま」
「え? 何? なんだって?」
「ごしゅーじんさま」
ああ、ご主人と言ったのか。のほほんとしたメイド、確かカスミと言ったか。
ふっくらと柔らかく、抱き心地が良さそうだ。
「よろしくお願いします~」
とゆっくりした動作で頭を下げる。
「ご主人サマ。大健闘だったヨ。次も鈴々で決まりネ。ワタシにするとイイ事アルヨ」
「あたしですよね~? もっと美味しくしたスイーツ食べてください」
ウミネコは黙って上目使いをしている。
「いや~、そうだね。うん、何より命が大切だ。今日の相手、カスミちゃんにはもう少しでやられる所だったんだ。強いよ彼女の武器は。ここは確実に勝利するために、カスミちゃんにするよ」
むう~とみんな一様に膨れっ面をするが、命を優先と聞いて引っ込んだようだ。
うん、何より僕とみんなの命が大切だ。決して目移りしてるわけじゃないぞ。
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