第13話起動

『マスター、マスター、起床時間です』

屋敷の主を無表情で呼ぶのは長い黒髪に桜色の和装が特徴の和風メイドロイド カグラだ

『うーん』

主は布団から出るどころか寝返りを打つだけで起きる気配がない。


カグラはその場でしゃがみ込みベッドの側面を掴むと、

一気に持ち上げて、主を叩き落とした。

『ぶべぼば!?』

『マスター、お目覚めですか?』

『目覚めたよ! こんな新鮮な目覚めは生まれて初めてだよ!』

今日も主のツッコミが屋敷中に響き渡る


『今日はカグラか、久しぶりだね』

『はい。ようやくエネルギーが補給されました』

カグラのエネルギー源はこの世界では貴重な商品 ロボビタンCだ

あまりに貴重な為、年に数回しか入手することが叶わず、

カグラが動ける日は1年を通してせいぜい3ヶ月ほどしかない。


『確か前にエネルギーが切れたのは3ヶ月前だっけ?』

『はい』

『あの時はびっくりしたよ。 朝食運んでる最中に突然機能停止してご飯ぶちまけちゃうんだもん』

『その節はご迷惑をお掛けしました』

『ううん。でも次はエネルギー切れる前に言ってね』

『実はもう切れそうです』

『早くない!?』

『ハンナ様がめんどくさがって少量しか補給してくださいませんでしたので』

『そこめんどくさがるなよ!』

『お急ぎくださいマスター 時間内にマスターを送り出せないとカグラはハンナ様に廃棄処分されてしまいます』

『厳し過ぎない!?』

『ハンナ様はやるといったらやるお方です あ、もう時間がありません。 マスターお許しください』

カグラはそういうと最後の力を振り絞り主の背中を思いっきり叩いた

『ぶべぼば!』

刹那

主は屋敷の扉を突き破る勢いで吹っ飛ばされる


『い、ってらっ、しゃ、い、ませ マ、ス、ター』

『びっでぎまーす』


こうして坊っちゃまはメイドに送り出される

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