詩集<熱>

積田 夕

空気を吸ったり

ご飯を食べたり

想いを伝えたり

口は命の入り口


唇と唇が触れあうのは

命と命が触れあうこと


柔らかく混ざり合う液体は

互いの躰に浸み込んでゆく

痺れるような感覚とともに

その指先にまでゆっくりと

唯一の存在に成りゆく為に


舌の上をすべる甘美は

僕のすべてを奪っていく

僕も君を奪っているのか


離れられなくなる前に

引き戻ろうとするのだけど、

もう遅いんだと声がした

すべては廻り始めてしまったんだから、と



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