第25話 初相談Ⅸ

「かの、えーと、どのようなご相談でしょうか」

 おそらく彼女と言いかけたのであろう秋月は、真っ赤な顔のままで、彼女という来客を迎え入れた。

 と同時に彼女の姿を認めた秋雨先輩が、短距離走のスタートダッシュのような勢いで扉の方へと駆け出した。

「このみ! 心配してたんだから! ……もう来てくれないんじゃ、ないかって」

 彼女――このみ先輩は、秋雨先輩に頭を撫でられると、ごめん、と下を向いてつぶやいた。

「……私も撫でられたい」

 何やら俺の左後ろから怪しげなつぶやきが聞こえてきた。

 振り返るが、そこには教科書と睨めっこしている冬川ただ一人。

 ……気のせい、かな。

 何はともあれ、待ち人は現れた。主役は揃った――ようやく解説編の始まりだ。

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