4日目 散策! ー後編ー
今回、多少の破廉恥な表現が含まれています。ご注意を。
【1班】
俺達1班は、湖の反対側を散策する事になったのだが……
「うぅ……泥沼だらけ……気持ち悪……」
嫌なことに泥沼だらけだしじめじめしてるしでホントに最悪だ。
泥沼に付きそうだったズボンの裾を捲りあげ、慎重に進んでいると、委員長が話し掛けてきた。
「魔姫ちゃんて意外と乙女ですね」
「そ、そんなことないです!」
もとい、からかってきた。何より最悪なのは、
「ゲコッ! ゲココッ!」
やっぱ異世界なだけあってモンスターが出現すること。そしてそのモンスターは俺の1番嫌いな、巨大蛙だってことだ。
「ひっ……」
「雲風さん、そんなに怯えてるとモンスターにやられちゃうよ?」
文乃が苦笑しながら巨大蛙を投げ飛ばす。
「だっ、だって気持ち悪いものは気持ち悪いですし……」
「あと敬語じゃなくていいんだヨ?」
肩に手を置いた新恒も言った。
「あ、あぁ、んじゃ敬語は使わないけど……」
「ねぇ、あそこにあるのって宝箱じゃない?」
「あ、ホントですね。魔姫ちゃん、ほら、あそこですよ」
委員長が指差す先を見ると、明らかに怪しげな宝箱があった。
「いや、あれ絶対罠だろ」
「いいからいいから! お宝回収しにいくヨ!」
「あ、ちょっ……」
そのまま強引に俺を連れていく。あぁ、もうどうにでもなれ。
「よぉし、お宝まってろヨーっ!」
新恒が宝箱を開けた瞬間、
『『『グォルラァッ!!』』』
大量のオークの集団が押し寄せてきた。
「やっぱり罠だったか!!」
俺はすぐさま背中に掛けていた浅葱色の剣を取り出し、オークに斬りかかった、が。
「ぐぁっ!」
図体の大きさじゃ適うはずもなく、オークに弾き飛ばされる。
逃げなきゃ────とも思ったが、いつの間にか結界と思わしきもので囲われていて、脱出が不可能になっていた。
「魔姫ちゃん────!」
「来るな! 敵は俺が何とかするから、委員長達は脱出方法を考えてくれ!」
「わ、わかった!」
そこから先は覚えていなかった。ただ無我夢中で剣を振り続け、 気付いた時には意識が途絶えていた────
「ん……ぁっ……」
何か、とてつもない快感を感じる。何だろう、とにかく気持ちい────
「はっ!!」
「あ、目覚めた」
起き上がると、何故か俺は裸だった。それでもって股辺りには文乃が……ってまさか!
「な、なな、なにしくさってくれてるんだ────!」
取り敢えず頭に1発食らわせた。
「い、いったー! って、委員長、雲風さん起きたよ」
何かを持って委員長がこちらへ歩いてきた。
「委員長、それは?」
「あぁこれ? さっきの宝箱の中に入ってた服と帽子ですよ。魔姫ちゃんに似合うと思って持ってきました」
「まさかそれを俺が着ろと? そのスカートを!?」
「その通りです。抵抗されると嫌なので、文乃さん達で押さえてください」
「「ラジャーっ!!」」
計4本の手がこちらへ伸びてきて────
「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
「………………」
「可愛い〜っ! 私達が着るより似合ってる気がするなぁ!」
「……脱ぎたい……」
男なら死んでも着たくないワンピースと猫耳付きの可愛らしい帽子を着こなす俺…………泣きたい。
「脱いじゃダメだからね? 元の世界に帰るまで、その服を着回すこと! それに幸い同じやつが二着あるし!」
「俺にとっちゃ不幸だけどね」
取り敢えず先程の戦闘で疲れ果てた俺達一行は教室に戻ることにした。
「さて、それでは散策の結果を発表してもらいましょうか」
委員長が教室周辺と1班が散策した箇所を白紙に描いていく。なんか、めっちゃ上手かった。
「私達1班が散策した箇所は、泥沼が多く、罠もたくさんありました。……実際死にかけましたし……」
「え!? 委員長、それ大丈夫なの?」
星河が心配そうに聞く。
「だ、大丈夫ですよ。魔姫ちゃんが助けてくれましたから」
「へぇー、雲風さんが、ねぇ」
「馬鹿にしてんのかお前」
「そうよ」
……イラッとしたがまぁいい。
「2班の発表お願いします」
「はい、私達2班は教室裏の森林を散策してきました。沢山の木の実がありましたので、食料には困らないかと思います」
「はい次ー」
なんか委員長面倒くさくなってきてないかな……?
「私達3班は湖周辺を散策してきたわ。湖近くには魚が結構いたわね。他にも貝や蟹なども居たから、魚介類にも困ることはないわ」
「全員終わりましたね。どうやら2階に24室部屋があるそうですので、一人一部屋で分けましょう。それでは解散!」
「「「いえーい!」」」
だから小学生かっ!!
「はぁ……今日は散々だったなぁ……」
深々とため息をつく。今日は異世界に飛ばされて更には女体化。……はぁ……。
「雲風さん、入ってもいいかしら」
「ん、爽風か。どうぞー」
「失礼するわ」
バスタオルと朝着ていたパジャマを持っている爽風。……てことは……
「まさかだけど、元男子と一緒に風呂入るだなんて言わないよな?」
「あらご名答。そのまさかよ」
「ぶっ! まじで言ってんのかよ! ……まぁいいけど」
俺は部屋にあった箪笥を開け、やはり入っているであろうバスタオルと替えのパジャマを取り出した。
「んじゃ、行くか」
「あら、剣は持っていかなくていいのかしら?」
「持っていくけど。……そういうお前はいいのか?」
「私は魔導書が入っていたわ。もう丸暗記したから大丈夫なのよ」
「すげぇ」
◇ ◇ ◇
「用心はしていたけど敵の数多すぎだろっ!!」
湖で入浴を始めて10分、魚達は襲ってくるわ森から遠慮なしにオークは襲ってくるわ、最悪ってレベルじゃない。
「そうね、これじゃ安心して入浴なんか出来ないわ────きゃっ!!」
悲鳴をあげたから何事かと思えば、どうやら爽風の方にオークの大群が押し寄せていた。すぐにでも助けに行きたいがこっちもこっちで忙しい。……頼む、生きてくれ……!
『スプラッシュエクスプロージョン』
爽風が魔法を使った。爽風を襲ったオーク達は勿論、ここら一帯のモンスターが飛び散った。
「さ、さんきゅー! ……よし、入浴再開するか!」
「えぇ、そうしましょう」
俺はまだ知らなかった。この後待ち構えていたラッキーイベントを────!
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