▼主人公のやる気が100倍アップ


「今日ママ、夜も撮影があるから帰り遅くなるね。」


目玉焼きに塩をかけながら妻が言う。

目玉焼きには醤油だろぅ……。


「分かった。俺、仕事終わり次第すぐ帰るから子守は任せろ。」


実は、妻は海姫まりんという名前の女優でタレント活動もしてる超有名人だ。

つまり、だから俺がフリーターをやってても何不自由無く暮らしてこれた。本当に感謝しか無い。

彼女は家事、子育て、仕事を全て両立させる本当にすごい人だ。正直、こんな俺と結婚してくれたのが不思議でならない。


「え!?ママまたテレビでるの!?」


間髪入れず晴がテーブルに身を乗り出して興奮した様子で尋ねる。

晴は、妻の子供なのと同時にファンの1人でもあり、海姫の出ている番組等は必ず見ている。

その事を知っている妻は、


「今回も海姫の活躍に乞うご期待!」


と、ドヤ顔で返していた。


呑気に団欒している時、ふと時計を見るとそろそろ出勤時間になっていた。晴雨も学校の時間だ。

「おーい、そろそろ時間だぞ〜。」

席を立ち、食べ終わった食器を流しに持っていきながら晴雨に呼びかける。

「ほんとだ!…ごひほうはまー!」

「………ごひほうはま…。」

晴と雨は焦って口にパンを詰め込んでからごちそうさまをする。

俺は、2人のランドセルを取り、2人に渡す。

俺も会社用のバッグを取り、2人と一緒に玄関に向かう。そして、その後に妻も付いて来る。


「みんな行ってらっしゃい。頑張ってね。


妻が言う。

それから3人で「行ってきます」をし、俺は晴雨とは逆の道に行く。

少し進んだ時、


「パパー!お仕事頑張ってねー!」


と、2人が言ってくれた。

これだけで100倍ぐらいのやる気が出た。

こんなにいい妻をもって、子供をもって、俺は幸せだ。

だからこそ今度は俺の力でもっと皆を幸せにしたい。

そう思いながら俺は駅までの道を歩いた。

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