想い人オモイ

佳山 ゆい

相合傘


傘を忘れて立ち尽くすあなたに傘を差しだしたのは私だ。

私が、「また雨が降ったら入れてあげる」って言ったら微笑んでうなずんだのはあなただ。

あなたが約束を忘れて持ってきてしまった傘を折ったのは私。

私は、予報はずれの雨で困らないように毎日傘を持ってた。

だって、約束だもんね。


ねえ。

なのにどうしてあなたは今、

違う女の傘に入っているの?


どうして私が傘に入れてあげようとしたら、

困った顔をして謝ったの?


知ってるわ。

あの女に約束を破るように強要されたのね。

あなたは誰にでも優しくて。

誰にでもモテるんだから。


私があなたを守ってあげる。

あなたを困らせてしまう”もの”は排除するから。


ふふっ。どうして怯えた顔をしてるの?別に約束を破ったこと、怒ってないわよ。

帰りましょ?

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