第51話 気をつけていること
手癖で書いてると、ついつい自分が使いがち、使い慣れた表現を多用してしまう。
表現でもすぐに擬音・オノマトペを使う人がいると思います。
それ自体は別に問題はないのだけど、さすがに一文、一段落内に同じ擬音や表現が続くと非常に文章として稚拙になってしまいます。
そう言う話を作家さんと話すことがあります。
おっとりとした長男のぽっちゃりとしたほっぺたにべったりとケチャップが付いている。
こういうのとか、文章がくどいですよね。難しいわけじゃないんですけど、凄く稚拙なレベルなのです。
できたら、これをいろいろと工夫して、書き換えていくと、文章の軽さやくどさがなくなるんじゃないかって努力したくなる。
のんびりした性格の長男の、まるでマシュマロのように柔らかそうなほっぺた一面に、真っ赤なケチャップがべっとりと付いている。
他にも表現方法はたくさんあると思うんですが、こんな風にオノマトペや擬音に頼らないで文章を書けるようになると、自分で理解しながら文章を崩していけると思うんです。
崩すって言うとアレなんですけど、文章を崩壊させるんじゃなくて、硬い文章を柔らかく、わかりやすく、軽くしていくことだと思ってます。
あとは、同じ接続詞が続くとか、単語表現が続くとか……。
でも、名詞として使う場合は続いても問題ないと思います。あまりコロコロ名詞表現を変えると、ウザくなったり読みにくくなったりして目が滑るから。
よく、
あの人はこういうことをしたくないが、例えばあちらにものを移すときに車を使いたくないが、自転車だと簡単に移動できると思っているので、自転車を借りようと思ってスーパーまで歩いて行ったので、すっかり足が棒のようになってしまった。
みたいな文章。結構多いです。
「あのひと」は何がしたいのか。
そのしたいことをするために何をしたのか。
そのためにどんなことをしたのか。
結果的にどうなったのか。
これ全部混ざってしまってますよね。
そうすると、「あの人は」「足が棒のようになってしまった」が本来の意味なのか、または「あの人は」その直後の文意につなげて、「車を使いたくない」のか……。
いったい「あの人」の行動の着地点がどこなのか全くわからないし、「が」「ので」を多用している。
こういうときはいっそ文を区切って二つにわけた方がいいですよね。
そんな風に、文章って推敲していくんじゃないかなと思っているのです。
後は同じ動詞を何度も使うとか。
彼女は彼に対して凄いなぁと思った。だから、たとえ何があろうと心変わりしないのだと強く思う。それなのに意志が弱いのですぐに諦めてしまう自分は弱いと思った。
とか、「思う」というのを一段落に3つも使っている。
「思う」という動詞を、違う動詞に変えることはできるので、「感じる」「誓う」「思う」という風に変えてみるといいかもしれない。
あと、これは校閲とかしてもらって気付いたけれど、
一度も何も気付いてないと思っていたと察していたのに、そのようなことがあること自体、自分の判断能力を疑ってもいいのだと痛切に感じた。
これ一見何もおかしくない。
でも、
一度「も」何「も」気付いてない「と」思っていた「と」察していたのに、そのような「こと」がある「こと」自体、自分の判断能力を疑ってもいいのだと痛切に感じた。
意外に重複してるんですよね。
だからこういう重複を消して文章を滑らかにすると、文章というものは上達していくのだと思うし、第一美しくなる。
華美な文章や重苦しい荘厳な文章だけが美しいわけじゃないと思ってます。
誰も全く意に介さない細かな表現だけでも、文章というのは美しくなるし、わかりやすくなるんじゃないかと考えています。
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