第31話

 みなさん、プロになると、作家だけでなくクリエイターの方は、出版社と契約というものを交わします。


 その契約書には、作品および作家や出版社の利権やお約束事について書かれています。


 契約書の中には、作家にとって非常に不利なことが書かれている場合もあります。


 例えば、


 ・著作権は買い上げで、原稿料を払ったら、著作人格権も全て恒久的に出版社のものですよ。

 ・作品は原稿料で支払いますが、書籍化した際には印税は支払いません。

 ・二次制作したものはすべて出版社に権利があって、作家には一切支払いはありません。


 などなどです。


 殆どが著作権と支払いに関するものばかりです。


 契約書が来た。なんか色々書いてあるけど、面倒くさいし難しいから読まないではんこを押そう。


 なんてことは絶対にしてはいけません。


 愛すべき作品を粗末に扱ってはいけないです。


 ましてや自分に関わる重要な事です。


 きちんと隅々まで読んで納得できたら判子を押しましょう。


 もし、「あれ?これは変だな」と思ったら臆さずに出版社に問い合わせて協議しましょう。


 もし、内容が妥当であれば要求は通るはずです。


 ところで、上記では作家の利権について話しました。


 ここからは出版社の利権について話します。


 契約書に書いてある殆どのことは、契約者(作家)と出版社のお約束事です。


 守らなかったら、訴訟を起こしますよってことになりかねません。


 出版社も無料で作家の作品を本にしているわけではないので、契約書に書かれていることを作家が無視したら怒る権利があります。


 例えば、

 ・出版物の舞台化等は出版社を通して話をしましょうね。

 ・電子書籍化したいときは、出版社を通して話をしましょうね。

 ・出版物の表紙や挿絵は出版社に帰属するものだから勝手に使ってはいけませんよ。

 ・出版物に関係するものは、たとえプロットや資料であっても他人に見せたりしてはいけませんよ。でも、公に発表している表紙は公開された後なら宣伝に使っていいですよ。


 これを守らなかったら、注意勧告される場合があります。


 ただ、注意で済む場合と賠償金を支払うように訴訟を起こされる場合があります。


 約束は約束。契約書は法的に有効です。法的に有効ということは、憲法、民法に従って、約束していることになります。


 それを、誰も見てないから良いよね? どうせわからないから良いよね? たった数人にだから良いよね?


 となると契約書の意味が成り立ちません。


 出版社も作家を無視して、映画化漫画化フィギュア化して良いわけではないのです。


 作家も、出版社を無視して、この作品を宣伝のために一部ネットにあげてみよう、人にちょっと見せびらかしたいから数人に見せてみよう、とかしてはならないのです。


 すべて、出版社と作家の間で相談して決めましょう、というのが契約書です。


 なので、軽い気持ちで契約書を見てはいけません。


 自分はほんのちょっとのことでやったとしても、相手が絶対に許さないと言ったら、取り返しがつきません。


 そうならないように、契約書を交わす機会があったら気をつけておくに越したことはないのです。


 ※ 追記

 契約書に書いてないから、やってもいいや。という風に考えてはいけません。

 出版した本に関して何か関わることをするときは、必ず出版社の編集者さんに質問しましょう。

 まぁいいかと思ってやってしまうと取り返しの付かないこともあります。

 経験上、ほんとにこれだけは悔やんでも悔みきれないですよ。


 それと、暗黙の了解という業界の約束事みたいなものもあったりします。

 こればかりは教えてもらわないとわからないことがあります。

 部数何かを言ってほしくないと思う出版社さんは多いです。なぜかというと部数と低下などがわかるとそこから逆算して、その会社に入る金額などすべてわかってしまうからです。会社としてはそれは非常に嫌なことです。

 ですから、部数や印税などは特に話さないほうがいいです。


 後は当たり前ですが、出版社や編集者さんへの文句をネットなどに書き込まないことです。不満があったら直接話し合いましょう。電話してもいいですし、メールでもいいです。空いてが忙しかったら長くて1週間連絡ないかもしれないですが、直接話し合ったほうが自分にとって不利になりません。

 不利というのは、その出版社と自分、という意味ではありません。よほど売れている作家さんでもない限り、他の出版社さんがそういうやり取りを見てしまって、「この作家は面倒だな」と思ってもしかしたら着たかもしれない以来がなくなったり、営業した時に相手にしてもらえないこともあるからです。

 自分から悪い噂などを作らないようにしましょう。


 出版社の編集者さんはほとんどの方が常識的でコミュニケーション能力の高い方が多いです。ですから自分も社会人として恥ずかしくない程度のコミュニケーション能力を身に着けておいたほうがいいと思います。

 それか潔く謝る能力ですね。自分のどこが悪かったかおしえてもらえたら次から+アルファで改善すればいいと思います。

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