恐怖のクリーンナップ
ヤンキースのオーナー塗呂は前々から八幡に目をつけていた。
主砲である守山と同じ巨体でパワフルな打撃が売り物である事、風貌も似ている。
しかし守山は札付きのワルであったが、八幡は球界きってのジェントルマンで水と油のような関係だった。
だが、千葉の夜の街を生き馬の目を抜くかのようにここまでのし上がってきた塗呂の目には、この二人がどうも他人ではないような気がしたのであろう。
そして側近に八幡と守山の過去を徹底的に調べるよう伝えた。
すると守山と八幡は異母兄弟という事が判明した。
守山は幼い頃、父と別れ母一人で彼を育てた。
やがて守山は不良グループの一員となり傷害の容疑で塀の中、暗い日々を送った。
少年院を出所した守山は野球少年だった頃の夢を追い続け、ヤンキースの育成選手として、茨城県にある二軍球場で泥にまみれていた。
そして才能が開花し、一軍に昇格。
並みいる強敵を力で押し退け、ヤンキースの主砲として君臨したのであった。
その守山と八幡が兄弟とは誰もが知らなかったであろう。
事実を確認した塗呂は、ボンバーズオーナー釜に八幡をウチにくれないかと打診した。
しかし、チームの顔である八幡をそう簡単に渡す事は出来ない。
釜はトレードの話を突っぱねた。すると塗呂は爽やかなイケメン数人を釜の下に送り込んだ。
八幡をくれるのならば、台湾ルートから更にイケメンを数人差し出すと。
イケメンに弱い釜は毎月、日本と台湾のイケメンを数人宛がってくれるのなら、という条件でトレードを受諾した。
しかし黙ってないのは関西のボンバーズファンである。
4番バッターを放出するとは何事か?とエライ剣幕で連日のようにファンが本社に押し寄せてきた。
気性の荒いファンの暴行を受け釜は肛門裂傷という重症で現在入院中である。
そんな紆余曲折を経て八幡はヤンキースに入団した。
荒くれものばかりのヤンキースで八幡はチームに溶け込めるのだろうか。
入団会見では守山も同席し、八幡には一言
「バーチーの文句はオレに言え!!」と凄み八幡を威嚇した。
守山は八幡と同じ30才。同学年だが、守山の方が2ヶ月早く生まれたので八幡は弟という事になる。
しかし塗呂は二人に兄弟だという事は伝えておらず、機を見計らって伝えようとしている。
かくして、3番陳、4番八幡、5番守山という破壊力のあるクリーンナップを得たヤンキースは首位のエンペラーズに牙を向くのであった。
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