Geekに恋した2人

水谷一志

第1話 運命の人

12月24日。今日は恋人たちにとって、特別な日だ。この日、クリスマスイブは、本家本元のヨーロッパでは、事情が違うのかもしれないが、少なくとも日本では、恋人と過ごすのが、当たり前になっている。そして、下世話な話ではあるが、この日、クリスマスイブに、恋人と過ごせる人は、「勝ち組」、そうでない人は、「負け組」と呼ばれ、この2組の間には、一種の差別が存在している、と言っても過言ではない。

 そんな、悲喜こもごもの気持ちを乗せた、とある街の片隅に、森田奏もりたそうという1人の青年が、クリスマスプレゼントを片手に立っていた。彼が立っているのは、地元では少し有名な、大きなクリスマスツリーの下である。そこはちょうど待ち合わせに便利で、周りを見回せば、夕方の時間帯ということもあり、今日という日を楽しみにしている、恋人たちばかりであった。

 彼はこの日のために、いつもかけている眼鏡を外してコンタクトレンズにし、また今シーズン新しく買った、流行りのコートを着ている。普段流行に敏感ではなく、ファッションにそれほど興味のない奏であったが、この日は特別であった。

 「おまたせ!待った?」

「ううん。全然待ってないよ。」

そうこうしているうちに、奏の恋人、木村奈美きむらなみが、クリスマスツリーの下へやって来た。奏はそれを、満面の笑みで迎えた。本当は少し待っていたのだが、そんなことはどうでもよかった。また、奏には恋人がいるので、一応、この日の「勝ち組」に分類されるのだが、そんなことも、今の奏の頭の中には、全くなかったのであった。    


奈美と奏は、高校時代からの同級生、詳しく言えば、高校1年生の時のクラスメイトであった。人見知りがお互いに激しい2人は、男子と女子、ということもあり、最初は、廊下で出会った時にあいさつする程度で、仲良く話をする、という雰囲気では決してなかった。そんな2人の関係が大きく進展したのは、その年の秋に行われた、体育祭の時である。

その日は9月の秋晴れの日、いや夏の香りが色濃く残る、残暑の厳しい日であった。たまたまクラスの体育祭の実行委員に選ばれた2人は、そこで、話をするようになった。そして、2人とも小説が好き、ということが分かり、そこからは、体育祭の準備もそっちのけで、(もちろんクラスに迷惑がかからないように、最低限の準備はしていたが、)好きな作家、小説について、時間を見つけては2人で語るようになった。その時から、奈美のことを奏が好きになるのは、速かったような気がする、と奏は思っている。奈美は決してクラスで目立つようなタイプではなかったが、笑顔が素敵で、周囲を和ませるような、不思議な力があった。奏は、例えば好きなアイドルなど、少し派手めの女子を好む傾向があり、奏にとって奈美は完全なタイプではなかったが、一緒にいて落ち着く、癒される、そんな恋愛もありなのかな、と、奏はこの時、思ったのであった。

もちろん、例えば中学校の時など、今まで奏には彼女がいたが、その彼女ともすぐに別れ、また奏は決して異性にモテるタイプではなかったので、告白する時は、他の人の倍以上、相当勇気がいった。しかし、奏は自分の気持ちに、素直になりたいと思い、奈美に告白した。

そして、奈美の方もまた、そんな奏に惹かれていた。奏が小説について語る時は、目がキラキラしており、その話を聴くことが、奈美にとって、何よりの楽しい時間になっていた。そして、人が恋をするというのは、こういうことなんだと、奈美は奏を見て、改めて思った。奈美の方も、中学校時代、彼氏がいたが、その昔の恋は長くは続かず、高校に入ってからは、まだ彼氏はできていなかった。

そんな中での奏からの告白に、奈美はとても喜んだ。そして、2人は付き合うことになった。


あれから10年…。あの頃、まだあどけなさの残る、幼い愛を育んできた2人は、気づけば26歳になっていた。この10年、奏と奈美は、別々の大学に進学するなど、すれ違いの要素はあったのだが、それでもお互いに、別れようと思ったことはなかった。そして、現在2人は社会人になり、奏は介護士、奈美は保育士となり、それぞれ頑張っている。2人は、仕事が忙しい時もあり、なかなか会えないこともあるが、それでも、会うのを止めようとは、思わなかった。

 「ねえ奏、今日はどこに連れて行ってくれるの?」

「とりあえずは、内緒。今日はクリスマスイブだから、2人で楽しもうね!」

奈美の甘えた口調での質問に、奏が答えた。今日の奈美は、女の子らしい、白のステンカラーのコートを着ており、メイクも、ナチュラルな中にかわいらしさが覗いている。奏にとって特別な日は、奈美にとっても特別な日で、この日のために、2人はおしゃれをしてきたのであった。

そして、2人は目的地の、レストランへと歩き始めた。付き合い始めた頃は、ぎこちなかった2人であったが、今は何の違和感もなく、手を繋いでいる。辺りを見渡せば、クリスマスのイルミネーションが、少しずつ点灯し始め、今日の2人を、祝福しているかのようであった。


また、この10年の間に、奏の中で、ある大きな夢が膨らんでいた。それは、「プロの作家になる。」ということだ。

前にも述べた通り、奏は、昔から小説が大好きであった。しかし、奈美と付き合い始めた頃は、自分に小説が書けるなんて、思ってもみなかった。そんな奏であったが、大学に入学し、奏の生活に転機が訪れることになる。たまたまその大学で出会った友達に、

「一緒に、文芸サークルに入らない?」

と誘われたのだ。もちろん、その時の奏には、自分から何かを書く、ということは想像もできなかったが、せっかく仲良くなった友達の誘いということもあり、

「分かった。じゃあ一緒に入ろう。」

と、奏は二つ返事をしたのであった。

 そこから、奏は小説を書き始めた。すると、自分でも意外なことに、言葉がとめどなく溢れてきた。プロットを書いて、下書きをして、そして本文を完成させる…。その行程は、予想以上に、奏を楽しませた。また、もともと自分の中で目標を立てて、それに向かって努力することが好きな奏は、「小説を完成させる」という「目標」に向かう、その過程も、好きであった。そしてその時奏は、漠然と、「プロの作家になりたい。」と、思うようになった。

 しかし、現実はそう甘くはない。奏は学生時代、何度か新人賞に応募したが、全て落選であった。そのため、奏はプロの作家になることは諦め、大学卒業後、地元の特別養護老人ホームに、介護士として働くことになったのである。

 しかし、奏は小説を書くことを止めてしまったわけではない。社会人になった今でも、奏は小説を書き続け、新人賞に応募し続けている。また、新人賞に落選した小説は、アマチュアの小説家専門の、サイトにアップする、ということを、奏は新たな日課としていた。(ちなみに、賞に落選したものは大丈夫だが、賞に応募中は、サイトへのアップは禁止されている、新人賞がほとんどである。)そして、そのサイトには、1日のアクセス数をカウントする機能がついており、そのカウント数が増えると、奏はパソコンの画面の前で、1人喜ぶ、そんな生活をしていた。


 「ここのレストラン、ほんとにおいしいね。奏、連れてきてくれてありがとう。」

「ううん。そう言ってくれて嬉しいよ。」

「でも、好きな人と一緒に食べると、もっとおいしいかも。」

奈美が少し照れながら、そう言った。普段はどちらかというとシャイな方で、こういったことは言わないタイプの奈美であったが、時折見せる大胆な発言、表情は、奏をどきどきさせる。

 「僕もそう思うよ。今日は奈美とこの場所に来れて、本当に良かった。」

「ありがとう、奏。」

今度は奈美が、満面の笑みを見せた。いつも思うことだが、奈美は笑顔が素敵で、そのことが奏を余計に夢中にさせる。また、さっきの発言の時の照れた表情と、満面の笑みとのギャップが、奏の心を掴んで離さない。

 「そういえば奏、今でも小説、書いてるの?」

「うん、書いてるよ。」

奏と奈美との話題が小説のことになり、奏は少しだけ、ヒートアップし始めた。

 「そうだね。ここの所は、仕事から帰るとずっと、執筆してるかな。前までは見てたテレビもほとんど見てないし、ネットもあんまりしてないね。これじゃあまるで、小説のgeekギークになったみたい。」

「えっ、ギークって何?」

「ごめんごめん、ギークっていうのは、英語でオタクのことだよ。自分ではオタクになってるつもりはないけど、傍から見たら、完全にオタクになってるかな?」

「そんなことないよ、って言った方がいいのかな?でも、そう言ったらオタクの人に失礼になっちゃうね。どっちにしろ、何か夢中になれるものがあるってことは、幸せだし、素敵なことだと思うよ。」

 奈美の一言に、奏は改めて、励まされた。奈美と付き合い始めて以来、何度奈美の言葉、そして笑顔に、励まされてきたことだろう。

 「それで、いつも言ってるけど、僕、プロの作家になることが夢なんだ。もちろん、プロの世界は厳しいし、そう簡単にはなれないことは分かってる。でも、僕は挑戦してみたい。もちろん、今の仕事を辞めるつもりはないよ。介護士の仕事を捨てて、作家一本でいくことは、リスクが大きすぎるからね。ちゃんと、地に足をつけて、その上で、作家の夢を追いかけたい。それに、今売れている作家の中にも、別の仕事と掛け持ちしている、兼業作家が多くいるんだ。僕がそうなれるかは分からないけど、とりあえず新人賞に応募して、自分の実力を、試していきたい、そう思ってるよ。」

「うん。奏の夢の話、何度聴いても、飽きないよ。」

奏は少し早口になりながら、奈美に今の思いを伝えた。気づけば、今日のために予約したレストランのコースは、デザートが出る順番まで来ていた。自分へのごほうびのため、そして大好きな奈美のためにセッティングした楽しい時間も、もう少しで終わりを迎える。

 「そうか~。プロの作家か。でも、それでもし、奏が新人賞に受かって、作家デビューしたら、人生、変わっちゃうね。」

奈美は冗談交じりで、こう言った。

「それで、書いた小説がどんどん売れ出して、一流作家の仲間入り、なんてことになったらどうする?」

「それは、嬉しいけど…。」

「そうなったら、印税収入がたくさんだね。そしたら、私のために、好きなブランドのバッグや小物、いっぱい買ってくれる?」

「もちろん、そうなればだけど、奈美のためなら何でもするよ。」

奈美の冗談に、奏は答えた。奏は、奈美にはこういう、かわいらしい所もあるのだと、思った。

「ありがとう。じゃあ期待して待っておくね。でも、もし奏が一流作家になったら、私のことなんか忘れて、他の女の人と、付き合い始めたりして。」

「そんなこと言わないでよ。僕にとって、奈美は1番の存在なんだ。だから何が起こっても、奈美とは別れたくない。」

どうやら奈美は、少しだけ飲んだお酒に、酔っているようだ、奏はそう思った。奏も奈美も、お酒には決して強くはない。

 「冗談だよ冗談。困らせてごめんね。でも、ムキになった奏、ちょっとかわいかった。

私は、一流作家の印税や肩書きも、高級ブランドのバッグも、何もいらない。ただ、奏と一緒に過ごせて、一緒に笑い合って、辛い時、悲しい時には一緒に泣いて、そうやって奏と一緒に毎日いられたら、それでいいんだ。だからこれからも、よろしくお願いします!

もちろん、奏が作家になりたいのなら、全力で応援するよ。奏の力になりたいから、何かあったらいつでも言ってね。

ちょっとしんみりさせちゃって、ごめんね。」

最後に奈美は、満面の笑みを見せた。奏は、自分は何て幸せなんだろう、奈美のためにも、作家という夢だけでなく、介護士の仕事も、しっかり頑張らなければいけない、と思い、その決意を新たにした。

「そろそろ時間だね。帰ろうか。」

奏と奈美は、レストランを後にした。介護士の仕事をしている奏は、次の日から、また仕事に向かわなければならない。奏は、レストランを出る前に決意した、仕事も頑張らねばならない、という思いと、仕事も何もかも忘れて、このまましばらくの間、奈美とずっと過ごしたいという、2つの相反する思いを抱えて、レストランから出たのであった。  

※ ※ ※ ※

翌年のとある朝、奏は、パソコンの前に釘付けになっていた。奏が応募した、権威ある新人賞で、なんと奏の小説が、大賞をとったのだ。奏は、「未来からの使者」という、奏の書いた小説のタイトルの横に、「第○回小説大賞受賞」と書かれた、ホームページを見て、感極まっていた。

そして、しばらくそのホームページの前で感慨にふけった後、奏はこの喜びを伝えようと、奈美に電話をした。この喜びを、真っ先に伝えたい相手は、今の奏にとって奈美しかいない。

「もしもし、奈美?やった!ついにやったよ。僕、新人賞をとったんだ!」

「えっ、すごい!おめでとう。」

「ありがとう。ほんとに嬉しいよ。今まで頑張ったかいがあった。」

「そうだね。ところで奏、今時間、大丈夫?奏のために、お祝いがしたいから、今すぐ会えない?」

「もちろん、大丈夫だよ!」

そして、2人は近所のカフェで、落ち合うことになった。


「奏、本当におめでとう。私、奏が新人賞とれて、自分のことのように嬉しい。だってずっと奏、頑張ってきたもんね。」

「そう言ってくれて嬉しいよ。奈美がいなかったら、僕はここまで、やって来れなかった気がする。本当に感謝してるよ。ありがとう。そして、これからもよろしくね!」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「それと、僕が大賞を取った、『第○回小説大賞』のホームページ、一応印刷しておいたんだ。一応、記念のためにね。それでその紙、額縁に入れて飾りたいくらいだよ。もちろん、実際にそこまではしないけどね。」

「そっか。奏がそうしたいなら、額縁買って来るよ?

 もちろん冗談。でも、それだけ嬉しいってことだよね。今日は、奏の笑顔が見られて良かった。

 ところでその、『未来からの使者』って、どんな話なの?前にも訊いたけど、奏は『完成するまで秘密』って言ってたよね?そろそろ、教えて欲しいな。」

「もちろん。これは、ある家庭崩壊寸前の家族が、再生していく話なんだ。

 主人公は、今まで家庭を顧みず、仕事ばかりしてきたサラリーマン。そのせいで、結婚していた妻とも、離婚することになってしまった。それでも、主人公はその元妻を顧みず、仕事ばかりしていた。

 そんな状態から数年経った後、その元妻から、主人公のもとへ連絡が来る。その内容は、『実は、あなたと私の間には、子供がいるの。連絡しようか迷ったけど、決めた。養育費、払ってちょうだい。もちろん、あなたに子供を会わせる気はないから。』

 というものであった。最初はその連絡を、気にも留めなかった主人公だったが、徐々に、子供の存在が気になってくる。そして、主人公の中で、自分の子供の存在が、大きくなっていく。

 そして主人公は、

『やっぱり、子供に会わせて欲しい』

って、元妻に頼むんだ。でも、その頼みは元妻に断られてしまう。

『そんな権利、あなたにはないわよ。』

って、言われてね。それでも主人公は、元妻に食い下がる。

 それで、元妻は、主人公を子供に会わせることを了承するんだけど、そこに、条件をつけるんだ。それは、

 『今私の子供は、未来の冒険漫画に、ハマっているの。だから、そうね、あなたは、未来から来た人、ってことで、私の子供と接して欲しいの。もちろん、自分が子供の父親だ、ってことは隠してね。それで、未来から来た、っていう嘘と、自分が子供の父親だ、っていうことがバレたら、アウト。その時点で、私は子供とは会わせないから。あなたにそれが、できる?』

というものだった。

 それは、半分冗談で、また主人公に子供と会うことを諦めさせることを目的にして元妻が提案したものだったんだけど、それでも子供に会いたい主人公は、その条件を呑んで、子供に会うことにした。そして、自分は『未来からの使者』だと名乗り、子供に会うことになった。

 その後、子供はその嘘を信じ、主人公に質問するんだ。

『おじさんは、タイムマシンに乗ってきたの?未来の世界は、どうなっているの?』

とかね。

 その質問に、主人公はあの手この手で答えていく。そして、子供の期待に、応えていこうと努力する。そうして、主人公、また元妻の心境に、変化の兆しが見える―。

 ざっとこんな感じかな。結末は、読んでからのお楽しみね。一応奈美のために、小説のUSBメモリー、持ってきたんだ。」

「ありがとう。へえ~。家族愛の話なのかな?面白そう!また、読んで感想伝えるね。」


 その後、2人はカフェで、他愛もない話をしながら、お祝いをした。それは1月にしては暖かく、外でコートを着ていたら、汗が少し滲んでくるような日和であった。これが晩秋から初冬にかけての時期なら、「小春日和」と呼ぶのだろう。でも今は1月で、その呼び名は正確ではない。小説を書くため、ある程度の言葉の勉強をしていた奏は、そんなことを少し考えながら、奈美との時間を過ごした。


 それから、事態は奏の思っても見なかった方向に進んだ。奏の新人賞受賞作品は、賞を主催していたとある出版社の雑誌に、全文掲載されることになった。すると、「面白い」「泣ける」など、またたく間に反響が大きくなり、奏の小説は、口コミで評判が高くなった。そして、そのことをきっかけに、出版社の方から、「プロの作家として、うちの会社で小説を一本、書いてみないか?」という誘いがあった。もちろん、奏は「分かりました。」という旨のことを、出版社に伝えた。さらに、奏が今まで、自分でインターネットの小説投稿サイトにアップしていた小説も、口コミによって人気が高まり、アクセス数・「良かった」等の感想が、山のように積み上がっていった。こうして、奏は一躍、時の人となったのである。


 そして、奏の下に、ある大きな仕事が、舞い込んできた。それは、奏が新人賞をとった出版社の、発行している雑誌の対談特集に、出て欲しい、というものであった。もちろん、最近流行りの、新人作家として出て欲しい、ということである。奏は「自分に務まるのだろうか。」と少々不安になり、決心がつかないでいたが、奈美からの、

「何事も経験だよ。せっかくのチャンスなんだし、その話、受けなよ。」

との励ましの言葉もあり、その依頼を承諾することにした。

 そして奏は、出版社の担当の人から呼び出され、事前の打ち合わせをすることになった。その出版社が入っているビルは、新築なだけあって立派で、高さも十分あり、新人をはねつけるような威圧感と、そんなビルで働いている人たちのプライドの塊のような感覚とを、奏に与えていた。

 奏がビルの中の、打ち合わせをする一室に入ると、そこには担当の人が、座っていた。そして、奏は説明を聞くことになった。

 「森田君、今日はわざわざ来てくれて、ありがとう。今回の対談を、担当させて頂く松田です。どうぞ、よろしくね。」

「はじめまして。森田です。よろしくお願いします。」

「それで、今回対談をしてもらう相手なんだけど、森田君は、モデルの、ユイカちゃんって知ってるかな?」

「えっ、はい。一応知ってます。きれいな人ですよね。」

「そうだね。今回の対談のテーマは、『20代、若き2人の才能』ということにしているんだ。もちろん、対談の内容は自由で、その時、思ったことを口にしてくれていいよ。むしろ、20代の2人の生の声が聞きたいから、そっちの方がいいかな。もちろん、向こうの事務所からのNGなんかもあるけど、常識の範囲内なら、全てOK、ということにしてあるからね。」

「分かりました。自分にできるかどうか自信がないですが、とりあえず頑張りますので、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくね。」


こうして、奏はユイカと出会うことになるのである。

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