第45話 暗い道の果てに

 しばらく、クーちゃんとの伝わっているのか伝わってないのか微妙な会話?をして私達は再び目的地へと歩き出した。

 砂漠の探索を終えたらクーちゃんに拠点で料理をご馳走すると約束すると、思いの外興味を示してくれた。


 クーちゃんと別れて私達は再びトンネルの中を進む。

 油断はしてないが、前のトンネルよりは気楽に進めている。


 そして、トンネルを2つ通り抜ける。


 トンネルを抜け出した途端に感じる気候の急激な変化。

 乾燥した空気が私達を包む。


 私達の目の前に広がる光景は……


 岩だらけだった。


 私の思い描いていた一面に広がる砂の海は存在しなかった。

 もう一度、地図を確認する。

 確かにここが砂漠地方で間違いない。


 空気は乾燥しているが流線形に侵食された岩が影を作っているためか、想像していたより暑くはない。

 しばらくはこの自然の作った岩の道を進むしか無さそうだ。


 振り返るとオオウミガラスが砂漠地方の熱気に当てられていた。

 その割にはオオウミガラスが汗を掻いている様子はない。


 フレンズは汗を掻かないのか?


 先程のクーちゃんが発声出来ないようにフレンズの身体になったからと言って、人の身体機能の全てを手に入れる事が出来る訳ではないらしい。

 マズイ、このままだとオオウミガラスが熱中症になる。

 私はオオウミガラスがダウンする前に引っ張ってトンネルの中へ戻った。


 どうやら、環境適応に関する物は元の動物の方の特色が濃く表に出るようだ。


 オオウミガラスは寒冷地に適応した動物のようで、砂漠のような熱帯地はキツいようだ。

 だが、ここは私一人で探索するからと言っても、付いて行きたがるのが困り者だ。


 まぁ、どうしても付いて行きたいのだったら、ここは一先ず砂漠の裏の顔に期待するしかない。


 地図を確認して目標までのルートを確認する。


 直線距離で向かえると考えていたが、この地形だと地図上では向かえるように見えても、実際は曲がりくねった道を進まなくてはならないかもしれない。

 そうなると、オアシスに向かうのも一苦労、もしくは私達の足では辿り着けない場所にあることも考えられる。


 等高線のないパンフレット地図ではこれが限界か。


 やはり、情報不足は中々に深刻な問題だ。


 砂漠地方の案内人のようなフレンズが居てくれれば心強いのだが……

 さすがに伝も無しにそれを望むのは我が儘か。


 さて、しばらくは昼夜逆転生活だ。


 私達トンネルの中で日が高い内から就寝を始める。


 ああ、やはり寝袋は良い。

 隣からでかいナマコみたいなんて感想を向けられているが、私は気にしない。


 固い地面に直接寝るのは懲り懲りだ。


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