第67話

そう思って、スマホを手に取ると、知らない電話番号だった。

誰だろう。僕は電話に出た。

すると、少し甘く、ややかすれた声がはっきりと聞こえた。




「もしもし。」




佳子さんだった。




「え、佳子さん!?」



僕はびっくりして大きな声を出してしまい、

周りにいた人がみんな振り返ってしまった。



「あ、あの、あの、ちょっと待ってください、このまま」



僕はあわてて声を潜めて食堂を出た。


佳子「今、話せるかな」

僕 「あ、はい」

佳子「ごめんね、平日の昼間に」

僕 「いえ、そんな」

佳子「きのうは、ありがとう」

僕 「いえ、あの、僕の方こそ、とっても、楽しくて」

佳子「うふ、よかった」

僕 「はい」

佳子「あのね、ちょっと今日、話がしたいの」

僕 「ええっ」

佳子「無理かな」

僕 「うーん、あの、きょうはちょっと無理です」

佳子「そうなの」

僕 「はい」



僕がそう言うと、

佳子さんは、あまりにもとんでもないことを、平坦な口調で言った。

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