活字の海


 舟を漕ぐでもなく

 その身で泳ぐわけでもなく

 プカプカぼんやり

 空を見上げて浮いている


 そんな僕の横を

 老若男女が過ぎていく


 好奇心を燃料に、ばた足でも突き進む子供がいた

 身を焦がす向上心で、舟に巨大な帆を張る若者がいた

 知を渇望し、巨人の肩の上で水平線を睥睨する賢者がいた


 僕は彼らに小声で「頑張って」と呟いて

 活字の海水にプカプカぼんやり、浮いている

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