楽園31 完成

「出来た!!!」

声を合わせて叫ぶ。

家が、船を整備するドッグに見張り台、畑、休憩所など、さらには温泉の周辺に脱衣場やトイレ、洗濯場を整備し、彼らだけの場所を“真実の楽園”にした。

さぁ、次は竈を造り、材木や草を切り乾燥させて焚き火に出来るようにした。

「よし、完成したし、今夜は記念パーティーだ」

「ヤッター」

「楽しみね」

夜、新しく造った竈に薪を焚べてキャンプファイヤーをおこし、六人はその前で踊った。新たな自分たちの帰るべき場所、国連には承認されていないが自分たちだけの世界、楽園だ。

アダムとイブ、イザナギとイザナミのようになり、ここを発展させていこう。いや、ノアたち家族が新世界の祖になったように…

「もっと、果実や野菜を育てましょう。お魚や野生動物の肉も食べられるようにしましょう」

「薬とかも自分らで作ろうぜ。もしかしたら、新しく大発見があるかも」

「田端さんみたいな犠牲者の遺品や遺骨を見つけたら、慰霊碑を建立して供養しようね」

思い思いに意見を出し合う彼らは情熱に、希望に燃えていた。

誰にも邪魔されず、叱責されず、ましてや体罰もない好きな人同士で力を合わせて作った正真正銘の“楽園”だからだ。

六人は、飲んで食べて、騒いだ。

歌ったり、踊ったりもした。














  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る