第9話 本日は仏滅凶日!3
「何。やばいのか?」
つきあいの長い京平が事態を悟って聞いてくる。
萌はその質問に目だけで頷いた。
「何なに、話がさっぱりわかんねーんだけど?」
「まあ、いいじゃん。リョウマ、次地学だろ早く移動しようぜー」
「地学室本当遠いよなー」と言いながら、一人だけ状況がわからないリョウマを京平が上手くいなそうとしてくれた。
京平に後ろから両肩を押される形でとことこ歩きはじめたリョウマは尚も気になる様子で後ろを少し離れて歩く萌まで声を飛ばしてきた。
「そういやさ、人から貰ったものが壊れると不安にならねぇ?あいつ、大丈夫かなってさ」
ふと思いついたように言ったリョウマの言葉に二人して固まってしまう。リョウマは続けた。
「でもさ、そういうのってやっぱ当たらねぇよ。うちの爺ちゃんなんか生命線1センチしかねーけどまだ元気に生きてるし」
「嘘だろマジかよ! 1センチって…」
生命線の話で盛り上がりはじめた二人に混じる余裕は、今の萌には無い。
「悪い、俺ちょっと電話してから行くわ」
萌は一人教室へ戻っていった。
心配そうな顔で萌を見送るリョウマに、「でもまあ…」と京平が話しかける。
「『大安』の日にみんなで宝くじ買っても当たるのなんて数人だしさ、『仏滅』の度に仏が滅してたら、仏は一体何人いるんだって話だし」
「ん?『仏滅』ってなに?」
「お前……。うちの高校の入試に出てきただろ。縁起が悪い日のことだよ。カレンダーによく書いてあるだろ」
「へえー」
(本当…普通当たらねぇよなぁ)
そんな京平の心の声に被さって、始業のチャイムが鳴った。
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